紀元前168年

紀元前168年は、ローマ暦における重要な年であり、地中海世界において政治的な変動が数多く発生しました。この年、ローマは第三次マケドニア戦争を終結させ、その影響は広範囲に及びました。以下に、この年に起きた主な出来事を詳細に記述します。

各地の紀年法

紀元前168年は、異なる文化圏で多様な紀年法で記録されています。

干支: 癸酉（みずのととり）
日本: 孝元天皇47年、皇紀493年
中国: 前漢・文帝12年
朝鮮: 檀紀2166年
仏滅紀元: 377年
ユダヤ暦: 3593年 - 3594年

ギリシア・マケドニア

この年、ローマはギリシア世界における覇権を確立しました。

イリュリア戦争の終結: イリュリア王ゲンティオスは、ローマ軍に敗北し捕虜となりました。この敗北は、マケドニア王国の重要な同盟国であったイリュリアをローマの影響下に置くこととなり、マケドニアの弱体化に繋がりました。
ピュドナの戦い: ローマの将軍ルキウス・アエミリウス・パウルスが、ピュドナの戦いでマケドニア王ペルセウス率いる軍勢に圧勝しました。この戦いの結果、第三次マケドニア戦争は終結し、ペルセウスは捕らえられ、ローマ近郊で虜囚として生涯を終えることとなりました。
マケドニア王国の分割: ローマはマケドニア王国を4つに分割し、マケドニアに協力したギリシアの都市を罰しました。この措置により、ローマの影響力はギリシア世界全体に拡大しました。また、歴史家ポリュビオスを含む多くのマケドニアの有力者がローマに捕虜として連行されました。

エジプト

プトレマイオス朝エジプトでは、共同統治が行われていましたが、この年はローマへの支援を求める状況が発生しました。

共同統治: プトレマイオス6世、プトレマイオス8世、クレオパトラ2世による共同支配体制が敷かれていましたが、この体制は不安定であり、ローマの介入を招く可能性を孕んでいました。

セレウコス朝

セレウコス朝では、アンティオコス4世が勢力を拡大しようとする動きが見られました。

キプロスでの勝利: アンティオコス4世は、キプロスでの戦いに勝利し、島を支配下に置きました。
エジプト侵攻: アンティオコス4世はエジプトに侵攻し、下エジプトを占拠しました。しかし、ローマ大使ガイウス・ポピッリウス・ラエナスが介入し、アンティオコス4世はエジプトとキプロスから撤退を余儀なくされました。この出来事は、ローマの地中海世界における影響力の強さを明確に示すものでした。ローマは、アンティオコス4世のシリア南部における支配を認める代わりに、エジプトからの撤退を要求しました。
エルサレムの大司祭: ヤソンがメネラウスにエルサレムの大司祭の座を譲ったことに対し、アンティオコス4世は自身の権威に対する侮辱と捉えました。

誕生

ティベリウス・センプロニウス・グラックス: ローマの政治家として、後の歴史に影響を与える人物がこの年に誕生しています。

死去

この年には、以下のような著名人が亡くなっています。

カエキリウス・スタティウス: ローマの喜劇詩人。
賈誼: 前漢の政治家であり、詩人でもありました。

まとめ

紀元前168年は、ローマが地中海世界でその覇権を確立した重要な年であり、多くの政治的、軍事的な出来事が起こりました。第三次マケドニア戦争の終結、エジプトやセレウコス朝における出来事は、後の歴史に大きな影響を与えることとなりました。

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