越前大仏

越前大仏：壮麗な姿と波乱の歴史を秘めた大仏

福井県勝山市に鎮座する越前大仏（えちぜんだいぶつ）は、別名「出世大仏」とも呼ばれる高さ17メートルの巨大な仏像です。中国の龍門石窟にある龍門奉先寺座像をモデルに、地元出身の実業家である多田清氏によって1987年に建立されました。毘盧舎那如来を本尊とするこの大仏は、当初は観光施設として創建され、多くの観光客を呼び込むことを目指していました。しかし、その歴史は順風満帆とは言い難く、様々な困難や課題に直面することになります。

建立から現在までの歩み

1987年の開眼供養以降、越前大仏は多くの参拝者を集めると期待されていましたが、実際には参拝者数は伸び悩み、当初3000円だった拝観料は現在では500円にまで値下げされています。門前町として期待された土産物店街も、現在では1軒のみとなっており、経済的な苦境に陥っていました。

さらに、税金滞納問題も大きな課題となりました。1996年から納税が困難となり、2002年と2004年には勝山市が土地や建物の管理を担うことになります。大仏と大仏殿は清大寺が管理を継続する一方、五重塔などの建物は公売に出されましたが、2007年以降9回にわたる公売は全て不調に終わり、買い手は見つかりませんでした。

2002年には臨済宗妙心寺派の寺院として宗教法人となり、宗教的な側面も持つようになりました。しかし、当初宗教法人化しなかったのは、勝山市への固定資産税納付を目的としていたという説もあります。2018年には、勝山市が滞納していた約40億円の市税を不納欠損処理することを決定。これにより、寺が持つ土地や建物の差押えはなくなりました。

壮大な伽藍

越前大仏は、大仏殿だけでなく、他の建造物も備えた壮大な伽藍を形成しています。その規模は圧巻です。

五重塔: 日本最大級の五重塔であり、鉄筋コンクリート造りとしては最大規模を誇ります。
金堂: 東大寺大仏殿を模して造られており、本尊である越前大仏が安置されています。
南大門: 東大寺南大門を模した、同程度の規模を有する門です。
中門: 大仏殿への入り口となる門です。
* 庭園: 回遊式の和風庭園があり、全国各地から集められた石や灯籠が配置されています。

その他

越前大仏は、福井テレビの番組「俵太の達者でござる」のエンディングにも登場するなど、地元に密着した存在となっています。また、繁忙期には、近隣の福井県立恐竜博物館の来館者向けに駐車場を開放し、送迎バスを運行するなど、地域貢献にも積極的に取り組んでいます。

アクセス

越前大仏へのアクセスは、えちぜん鉄道勝山永平寺線勝山駅下車後、勝山市コミュニティバス「ぐるりん」、勝山市乗合タクシー平泉寺線、または勝山市内観光バス「ダイナゴン」を利用して約10分です。

まとめ

越前大仏は、その壮大なスケールと、税金滞納問題など波乱に満ちた歴史を持つ、魅力的な観光スポットです。近年は、地域との連携を強化しながら、その存在感を高めています。訪れる際には、その歴史と背景、そして大仏の圧倒的なスケールを体感してみてはいかがでしょうか。

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