越前野中駅

越前野中駅：歴史と自然に抱かれた小さな駅

越前野中駅は、福井県吉田郡永平寺町野中にあるえちぜん鉄道勝山永平寺線の駅です。駅番号はE16。周囲は水田が広がり、のどかな田園風景が広がる中に佇む、静かなローカル駅です。

歴史：地域住民の強い願いから生まれた駅

越前野中駅は1950年8月15日、期間限定の臨時駅として開設されました。わずか3日間の営業の後、同年9月10日には常設駅となりました。これは、当時の吉田郡上志比村、浄法寺村（現在の永平寺町）、そして大野郡北郷村（現在の勝山市）の村長たちが京福電気鉄道に請願し、実現した請願駅だったからです。地域住民の強い鉄道への期待と熱意が、この駅の誕生へと繋がったと言えるでしょう。その後、1978年11月1日には駅業務が廃止され無人駅となりました。2001年には、京福電気鉄道越前本線列車衝突事故の影響で全線運行が休止、駅も休業を余儀なくされました。しかし、2003年2月1日に駅施設が京福電気鉄道からえちぜん鉄道へと譲渡され、同年10月19日には永平寺口駅-勝山駅間の運行が再開。越前野中駅も再び旅客を迎えることとなりました。

駅構造：簡素ながらも機能的な設計

駅舎はなく、本線南側に1面1線のホームのみが設置されています。しかし、ホーム上には待合室とトイレが備え付けられており、利用者の利便性を考慮した設計となっています。また、ホームの両端に設置された入口には、スロープも設置されているため、車椅子利用者にも配慮が行き届いています。簡素ながらも、利用者の安全と快適性を確保した、実用的な構造と言えるでしょう。

利用状況：地域社会を支える役割

越前野中駅の1日あたりの平均乗降人員は、公開されているデータからは詳細な数値は分かりません。しかしながら、周辺地域住民の生活の足として、そして観光客のアクセス拠点として、重要な役割を果たしていることは間違いありません。

駅周辺：自然豊かな環境

駅周辺は、西側の集落を除き、水田が広がる風景が広がっています。特に、国道416号を越えた九頭竜川は、鮎釣りの名所として知られています。自然豊かな環境に恵まれたこの地域は、釣りを楽しむ人々にとっても魅力的な場所となっています。

隣の駅

えちぜん鉄道勝山永平寺線

普通：轟駅 - 越前野中駅 - 山王駅

快速は当駅を通過します。（上り方向のみ運転）

参考文献

寺田裕一『日本のローカル私鉄2000』ネコ・パブリッシング、2000年8月1日
『京福電気鉄道 越前線写真帖 88年回顧録』京福電気鉄道、2003年1月31日
川島令三『【図説】日本の鉄道中部ライン全線・全駅・全配線 第5巻 米原駅 - 加賀温泉駅』講談社、2010年8月20日
* 『週刊歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄28 えちぜん鉄道 福井鉄道・北陸鉄道・のと鉄道』朝日新聞出版、2011年10月2日

まとめ

越前野中駅は、地域住民の熱意によって誕生し、幾多の困難を乗り越えて現在も運行を続ける小さな駅です。周囲の自然豊かな環境と、駅の歴史を垣間見ることができる、魅力的な場所と言えるでしょう。

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