近鉄山田線

近畿日本鉄道山田線：伊勢神宮へのアクセスを担う観光路線

近畿日本鉄道（近鉄）山田線は、三重県を代表する観光路線の一つです。松阪市の伊勢中川駅から伊勢市の宇治山田駅までを結んでおり、路線記号はMで、近鉄京都線・橿原線・大阪線に続く番号体系となっています。

伊勢志摩へのアクセス拠点

山田線は、大阪・京都・名古屋方面から伊勢志摩地域へのアクセスを担う重要な路線です。大阪線や名古屋線と接続し、多くの特急列車が運行されており、観光客の利便性を高めています。宇治山田駅からは、鳥羽線や志摩線への直通列車も多く設定され、伊勢志摩をくまなく巡ることができます。

宇治山田駅は伊勢神宮の最寄駅であり、その歴史ある駅舎は国の登録有形文化財に登録されています。また、隣接する伊勢市駅は伊勢神宮外宮の最寄駅として機能しています。2013年には、観光特急「しまかぜ」の運行が開始され、快適な旅を演出しています。

JR線との競合と近鉄の優位性

松阪駅と伊勢市駅の間では、JR東海の紀勢本線・参宮線と競合していますが、山田線は旧参宮街道に沿って敷設されているため、ルートは完全に並行していません。名古屋線津駅～松阪間も同様で、伊勢中川駅を迂回するルートのため完全な並行路線とはいえませんが、競合関係にあると言えるでしょう。しかし、JRが単線非電化であるのに対し、近鉄山田線は全線複線電化で、運行本数も多いため、近鉄の優位性が際立っています。

運賃支払いシステムと改札

スルッとKANSAIカードやJスルーカードは利用できませんが、PiTaPa、ICOCAをはじめ、全国相互利用サービスに対応したTOICA、manacaなどのICカードが利用可能です。伊勢中川駅、松阪駅、伊勢市駅、宇治山田駅には自動改札機が設置され、それ以外の駅には簡易改札機が設置されています。

キロポストは大阪線からの距離表示（大阪上本町駅からの距離）を採用していますが、山田線内では旧青山トンネル経由の距離が記されています。

路線データ

路線距離：28.3km
軌間：1435mm
駅数：14駅
複線区間：全線
電化区間：全線（直流1500V）
閉塞方式：自動閉塞式
最高速度：130km/h
管轄：名古屋統括部（旧名古屋営業局）

運行形態

特急列車のほか、急行、快速急行（朝と夜間）が運行されています。これらの列車は、松阪駅、宇治山田駅、五十鈴川駅、鳥羽駅などを経由し、大阪・名古屋方面とを結んでいます。おおむね平坦な線形で、急カーブも少なく線形は良好です。速達列車の本数が多い時間帯もありますが、ダイヤに余裕を持たせているため、全力疾走とは言い難い運行形態です。それでも、停車駅が少ないことから、伊勢中川駅～宇治山田駅間の所要時間は特急で最短21分（表定速度81km/h）、快速急行・急行でも23分（同74km/h）と高速です。

運行本数と列車種別ごとの特徴

特急

終日運転されています。停車駅は、伊勢市駅・宇治山田駅（阪伊・名伊甲特急、「しまかぜ」）と伊勢中川駅・松阪駅・伊勢市駅・宇治山田駅（その他特急）です。多くの列車が鳥羽線五十鈴川駅・鳥羽駅、志摩線賢島駅まで直通運転しています。日中時間帯は、大阪難波駅・大阪上本町駅発着の阪伊乙特急、近鉄名古屋駅発着の名伊乙特急が運転されています。朝夕時間帯には、京都駅発着の京伊特急、「しまかぜ」、土休日は甲特急も運行されます。ラッシュ時には、松阪駅発着の乙特急・京伊特急も運転されます。編成は4～8両ですが、多客時の増結に対応するため、主要駅のホームは最大10両に対応しています。

快速急行・急行

急行系の列車も終日運転されています。基本停車駅は特急の乙特急と同じですが、一部列車は宮町駅にも停車します。日中は近鉄名古屋駅発着の列車が1時間間隔で鳥羽線五十鈴川駅（一部は宇治山田駅）まで運転されます。日中以外の時間帯には、大阪線からの直通列車が増加し、鳥羽駅まで運転される列車もあります。編成は6両編成が基本で、日中以外の一部列車は4両編成です。トイレ付き車両が使用されます。山田線内では特急を待避しません。

普通

普通列車は伊勢中川駅～賢島駅間を中心に運転されています。ラッシュ時や早朝・夜間には、伊勢中川駅～宇治山田駅・五十鈴川駅・鳥羽駅間、明星駅～宇治山田駅・鳥羽駅間の列車も運行されています。日中と深夜は30分間隔での運転が基本で、朝夕のラッシュ時には本数が増加します。多くは2両編成ですが、各駅のホーム有効長は4両対応となっています。特急・快速急行・急行との接続は、伊勢中川駅、松阪駅、伊勢市駅、宇治山田駅で行われます。

過去の列車種別

過去には、区間快速急行、区間急行、通勤急行、準急、直行などの列車種別がありましたが、現在は運行されていません。

終夜運転と臨時列車

大晦日から元旦にかけては終夜運転が行われ、伊勢方面への特急や普通列車が運行されます。また、毎年7月中旬の伊勢神宮奉納全国花火大会の際には、臨時列車が運転されます。

観光列車「つどい」

2013年の伊勢神宮式年遷宮に合わせて、伊勢市駅～賢島駅間で観光列車「つどい」が運行されていました。土休日の日中のみ運行され、山田線内では伊勢市駅と宇治山田駅に停車していました。

使用車両

大阪線直通列車には大阪線所属車両、それ以外の列車には名古屋線所属車両が主に使用されています。ワンマン運転列車には、名古屋線所属の車両が使用されます。

歴史

山田線は、参宮急行電鉄によって、大阪から伊勢神宮への速達ルートとして建設されました。1930年の開業とほぼ同時期に、地元企業の伊勢電気鉄道も参入しましたが、経営難から参宮急行電鉄に買収され、路線は統合されました。その後、関西急行鉄道を経て、近畿日本鉄道となりました。

年表

1930年から現在までの歴史的な出来事を時系列でまとめた年表です。（詳細は本文に記載）

駅一覧

山田線の全駅一覧です。（詳細は本文に記載）

主要駅の乗降客数

2018年11月13日時点での主要駅の乗降客数です。（詳細は本文に記載）

参考文献

本文で引用した参考文献一覧です。（詳細は本文に記載）

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