遠賀郡

遠賀郡：北九州経済圏に位置する歴史と発展の郡

福岡県に位置する遠賀郡は、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町の4町からなる郡です。面積は93.38平方キロメートル、2024年10月1日時点の推計人口は8万9477人、人口密度は958人/平方キロメートルと、比較的高い人口密度を誇ります。

歴史と変遷

古代には「おか」と呼ばれていた遠賀郡は、明治11年（1878年）に現在の行政区画として発足しました。当初の郡域は、現在の4町に加え、北九州市（若松区、戸畑区、八幡東区の大部分、八幡西区の大部分）、中間市の大部分を含む広大なものでした。

1901年、八幡村への官営製鉄所進出を機に、遠賀郡は一大工業地帯へと変貌を遂げます。水巻町、遠賀町、岡垣町には鹿児島本線と国道3号が走り、交通の便の良さから開発が進み、現在も発展を続けています。北九州市の経済圏に属し、生活や文化面で密接な関係を保ちますが、郵便番号は芦屋町と水巻町が北九州中央郵便局管内の〒80地域、遠賀町と岡垣町が新福岡郵便局管内の〒81地域と、微妙な違いが見られます。また、郡部としては珍しく、全町で住居表示が実施されています。

各町の個性

各町はそれぞれ異なる歴史と特徴を持っています。

芦屋町: 遠賀川の河口に位置し、江戸時代から明治初期にかけて筑豊炭田の石炭積出港として栄えました。しかし、芦屋線の廃止や若松港への石炭積出港機能の移転により衰退。古くからの市街地が残る一方で、近年はさらなる衰退が懸念されています。鉄道の通っていない町としても知られています。
水巻町: 旧産炭地であり、北九州市八幡西区折尾地区と隣接し、連続した市街地を形成しています。近年は看護系の専門学校も進出し、学生の町としての発展も期待されています。
* 遠賀町・岡垣町: 遠賀川を挟んで位置し、かつては農村でしたが、交通の便の良さから人口が急増。近年は福岡都市圏のベッドタウンとしての役割も担っています。

近世以降の沿革

明治初期には、遠賀郡の全域は筑前福岡藩領でした。当時の村は85村あり、明治4年（1871年）の廃藩置県により福岡県の管轄となりました。その後、町村制の施行（1889年）、郡制の施行（1896年）を経て、合併や市制施行などを繰り返し、現在の4町へと姿を変えてきました。この過程において、若松市、八幡市、戸畑市、中間市といった近隣都市の成立にも大きく関わっています。

現代の遠賀郡

現在、遠賀郡は北九州市の経済圏に組み込まれ、その発展に貢献しています。しかし、郡内全体としては、隣接市町のような大規模な工業集積はなく、農業や漁業が主要産業となっています。各町はそれぞれの歴史と特色を生かしながら、現代社会の中で独自の道を歩んでいると言えるでしょう。今後の発展が期待されます。

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