重版

重版とは

重版（じゅうはん）とは、すでに発行された出版物の初版と同じ版を使用し、判型や装幀も同じものにて再度刷り直す行為を指します。このプロセスは「増刷」や「重刷」とも呼ばれ、出版界において非常に重要な位置を占めています。また、重版が実現し、その書籍が市場に出ることを「重版出来（じゅうはんしゅったい）」と言います。

日本の出版文化における重版の歴史

日本の出版文化は江戸時代にまで遡ります。当時は木版印刷が主流で、版木を使ってそのまま再印刷することが一般的でした。しかし、挿絵の細かい部分で使用される薄墨のぼかしは、再版の際に必ずしも再現されなかったため、これが版の判別に利用されることがありました。版木は出版者の財産として特に大切に保管されていました。

明治に入ると、活版印刷が普及し、その効率性から重版の際には一度組まれた版面を紙型（しけい）で再現する方法が採られるようになりました。この場合、初めに強い紙質の紙に版面を押し付けて型を取り、その後紙型に鉛を流し込んで版を作る仕組みです。

なお、日本の出版業界は新刊に対する依存度が高いとされ、重版の割合は欧米に比べると少なめです。

欧米出版文化の重版

対照的に、欧米諸国では新刊に対する重版の比率が日本よりも高い傾向があります。例えば、イギリスでは1996年下半期のデータによれば、新刊の割合が77.5%、重版が21.5%であり、ドイツの1995年のデータでは新刊72%、重版28%とされています。

重版出来の意味

重版出来（じゅうはんしゅったい）は、初版の発行部数を超えて更に新たに刷り上げることを意味する言葉です。出版業界においては、重版予測を元に初版の部数を決定するケースもあります。この用語は出版業界に特有で、企業によっては「じゅうはんでき」と読むこともありますが、他の企業ではそれが誤読だとされることもあります。

また、漫画「重版出来!」などのメディアで「重版決定」として使われることがありますが、本来の意味としては重版分の書籍が完成し書店に流通することを指し、「決定」のニュアンスは含まれません。このような誤解を避けるためにも、正確な意味を理解しておくことが重要です。

まとめ

重版は、出版の世界において非常に重要な概念です。日本と欧米の出版文化の違いを知ることで、より深く出版物に対する理解が進むでしょう。重版は単なる再印刷にとどまらず、出版物の需要や市場の反応を反映した行為です。特に重版出来の概念は、出版業界において重要な指標となります。

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