閻

閻と閆：漢姓の歴史

閻（えん）および閆は、中国を中心に広く見られる漢姓の一つです。この姓は、特に中華圏において一般的であり、2020年に実施された中華人民共和国の第7回全国人口調査によれば、77番目に多い姓であり、約358万9,300人の方々がこの姓を持っています。一方、台湾の統計では、「閻」が第174位、「閆」が第422位に位置しており、それぞれの人数は2,881人と238人です。興味深いことに、現行の『百家姓』では「閻」は327番目、「閆」は460番目と異なる位置に記載されていますが、両者が別々の文字であるかどうかには疑問が残ります。

漢字の特性

「閻」と「閆」という漢字は、表面上は別の字として扱われていますが、「閆」は古い書物には見られず、『五音篇海』などの資料によると、「閻」と同義であると考えられています。実際には「閻」の異体字である可能性が高いとされています。『正字通』では、「閆」を姓のための特別な字として位置付け、これを受け継いだ『康熙字典』や『大漢和辞典』にもその記載があります。

歴史的には、簡体字において「阎」が使用され、後に「闫」が異体字とされていました。しかし1977年には、第二次漢字簡化方案により「闫」に統一されましたが、この権限は後に失効しました。現在では「阎」と「闫」が区別されて使用されていますが、多くの姓氏辞典では「阎は闫とも書く」と簡略化して説明されることが多いです。

歴史的な人物

閻姓の著名な人物には、後漢の安帝の皇后である閻氏がいます。閻氏一族は安帝の死後、劉懿を擁立する一時期の権力を握りましたが、劉懿の病死後、彼らは皆殺しにされました。また、閻行、閻圃、閻立本といった歴史的人物もこの姓に由来しています。閻行は後漢末期の人物で、閻圃は三国時代の魏の政治家として名を馳せました。もちろん、近代においても閻姓の持ち主は存在し、例えば閻錫山（中華民国の軍人）や閻森（卓球選手）、閻涵（フィギュアスケート選手）などがいます。

朝鮮の姓としての閻

閻は朝鮮文化の中でも見られる姓ですが、1930年の国勢調査の際に初めて登場しました。このとき、閻姓を持つ家庭はすでに世系を失っており、本貫も不明でした。高麗の太祖朝に帰化した閻長が文献上の初見の例です。1985年の調査では、閻は285の姓には含まれず、これにより姓を改めた可能性も考えられます。しかし、中国東北地方に住む朝鮮族の間で稀にこの姓が存在することが報告されており、吉林省和竜市では現在でもこの姓が確認されています。

1930年度の国勢調査では、一部の地域で1世帯が確認されたものの、その後の調査では確認されていません。また、歴史的背景として、朝鮮王朝後期以降に間島地方に移住した家族が多いと考えられ、1905年の第2次日韓協約や1910年の日韓併合に伴って多くの人々が東北地方に移住しました。そして1945年以降、朝鮮戦争の影響などで難民として流出した人々もいたとされています。

結論

閻や閆という姓は漢民族に由来する姓ながら、歴史的な経緯に伴い様々な変遷を経てきました。これらの姓の背後には、個々の家族や人物にまつわる多くの物語があることを考慮することが重要です。

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