防風通聖散

防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）

防風通聖散は、日本でも広く用いられている漢方方剤の一つです。医療機関で処方される医療用医薬品と、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品があります。独特の風味があり、温めて服用することで効果を発揮します。その起源は、金時代の漢方の古典である『宣明論』に遡ります。

効果・効能

防風通聖散は、特に便秘傾向があり、お腹周りに皮下脂肪がつきやすい方に適しています。具体的には、以下のような症状や状態に対して効果が期待できます。

高血圧や肥満に伴う動悸、肩こり、のぼせ、むくみ、便秘
副鼻腔炎（蓄膿症）
湿疹、皮膚炎
肥満症

防風通聖散は、気道、皮膚、尿路、腸管からの排泄を促すことで、体内の余分なものを排出するのを助けます。体質的には、体力があり、暑がりで、のぼせやすく、むくみやすいといった方に適しています。これは、体力充実（実証）、熱がり（熱証）、水分停滞（湿証）という漢方医学的な考え方に基づいています。また、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌を抑制する作用も報告されています。

組成

防風通聖散は、18種類の生薬から構成されています。

ボウフウ（防風）
オウゴン（黄芩）
ダイオウ（大黄）
ボウショウ（芒硝）
マオウ（麻黄）
セッコウ（石膏）
ビャクジュツ（白朮）
ケイガイ（荊芥）
レンギョウ（連翹）
キキョウ（桔梗）
サンシシ（山梔子）
シャクヤク（芍薬）
トウキ（当帰）
センキュウ（川芎）
ハッカ（薄荷）
カッセキ（滑石）
ショウキョウ（生姜）
カンゾウ（甘草）

これらの生薬が組み合わさることで、様々な効果を発揮します。

副作用

防風通聖散の服用により、以下のような副作用が現れることがあります。

下痢
食欲不振
発疹
全身のだるさ

まれに、重篤な副作用として、黄疸、薬剤性肺炎、劇症肝炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、腸間膜静脈硬化症などが報告されています。異常を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

医学的評価

近年、防風通聖散の有効性に関する研究が進められています。複数の臨床論文を分析したメタアナリシスでは、防風通聖散がBMI（体格指数）を有意に低下させることが示唆されています。ただし、ウエスト周囲径、血中糖脂質、血圧に関しては、有意な差は認められていません。

使用上の注意

防風通聖散を使用する際は、添付文書をよく読み、用法・用量を守って正しく服用してください。また、持病をお持ちの方や、他の医薬品を服用中の方は、事前に医師または薬剤師に相談してください。

参考文献
一般用漢方製剤「防風通聖散」を肥満症に使用するときの留意点 (PDF) 日本漢方生薬製剤協会
防風通聖散はどういう漢方薬なのか

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