陸賈

陸賈（りく か）

陸賈は、紀元前2世紀の中国、前漢時代に生きた政治家であり外交官です。楚の出身であり、その業績は主に『史記』と『漢書』によって知られています。二度にわたり南越へ使者を派遣し、南越王に対して漢への臣従を促した人物として歴史に名を刻んでいます。彼はまた、太中大夫という地位に就いており、著作としては『新語』と『楚漢春秋』が知られています。

生涯と使者としての活躍

陸賈の生涯については正確な生没年の記録は残っていませんが、彼はおそらく紀元前235年頃に生まれたと考えられています。彼は楚漢戦争の際、劉邦の陣営に身を置き、口才が豊かで知られていました。彼は多くの使者として活躍し、特に項羽との関係で重要な役割を果たしました。

特に有名な事例の一つは、紀元前207年に秦王子嬰のもとで降伏を説得したことです。しかし、劉邦はこの降伏を疑い、迂回攻撃を行って秦軍を敗北させました。また、紀元前202年の広武山での項羽との交渉も彼の加勢として行われましたが、この場では利用目的が果たせず、後に和睦を成功に導いた侯公に頼ることになります。

南越王への使者

紀元前196年、陸賈は南越王尉他に派遣されました。尉他は当初無礼な態度を示しましたが、陸賈が持参した王に任じる印によって、漢に従うことを約束しました。この成功の結果、尉他は彼に黄金と真珠を贈呈しました。劉邦はこの成果を喜び、陸賈を太中大夫に任命しました。

劉邦との関係

劉邦が天下を統一した後、陸賈は儒教の教えを引き合いに出し、政権運営への文と武のバランスを説きました。彼は「馬上で天下を治めることはできるのか」と自らの考えを述べることで、劉邦に影響を与えました。さらに、陸賈は国の存亡に関する見解を盛り込んだ『新語』という12篇の書を著し、劉邦に提出しました。

呂后の専横と陸賈の退避

陸賈は、劉邦の死後に勢力を強めた呂后から身を守るため、病を理由に引退しました。彼は様々な策略を巡らし、呂氏討伐の準備に寄与しました。また、彼は親しい人々との関係を深め、互いに協力して呂氏を排除する動きに一助となりました。

再び南越への任務

紀元前179年、再び南越王に派遣されることが決まり、陸賈は南越王趙佗を訪れます。趙佗は謝罪の文書を送り、皇帝のように振舞うことを止めると約束しました。こうして陸賈は安全に任務を果たし、この時生涯を全うしました。

著作物とその影響

彼の著作には、『新語』と『楚漢春秋』があります。特に『新語』は、後世にわたって研究され続け、彼の思想が生かされています。陸賈の業績に関する記録は、司馬遷の『史記』や班固の『漢書』に見られ、歴史的には非常に重要な存在として確認されています。

系譜

陸賈についての系譜には、唐代の司馬貞が引用した内容があり、彼は春秋時代の陸渾の血統を引くとされていますが、詳細については不詳な点も多いです。

彼の生涯は、政治的才能と外交手腕に満ちたものであり、中国古代史における重要な人物の一人であることは間違いありません。彼の業績と著作は、後世においても語り継がれています。

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