額田部

額田部（ぬかたべ）について

額田部（ぬかたべ）は、古代日本の部（部族）として位置づけられ、さまざまな歴史的背景を有しています。この部は、応神天皇の皇子である額田大中彦皇子の名代として伝承されていますが、田部の一種とも考えられています。特に554年には、額田部皇女（後の推古天皇）が誕生しました。このように、額田部は日本古代史において重要な位置を占めています。

額田部の起源と発展

通説によると、額田部の制度は5世紀後半、雄略天皇の時代に確立されたとされています。ただし、大和政権と出雲の勢力との関係から、5世紀という時期には難しいとする意見もあります。この時両者は緊張状態にあり、額田部は大中彦皇子の名代であるとする立場を支持する意見も存在します。

また、額田部は製鉄や鍛冶部族の一団を指すとの見解もあり、そうした立場からその役割を再評価する動きがあります。具体例として『日本書紀』には、大中彦皇子が屯田を管掌しようとした際、出雲の淤宇宿禰との間で起こった事件が記録されています。この事件は大和と出雲との力関係を象徴するものと言えるでしょう。

額田部の地理的分布

額田部は全国に分布し、中央の氏族では連姓、地方では君・臣・直・首姓が統括していました。特に島根県岡田山古墳からは「各田了臣」と刻まれた円頭大刀が発見され、この地域における額田部の存在を示す重要な証拠です。この古墳の位置は、かつての出雲国意宇郡に該当し、国衙の遺跡も近くで発掘されています。

『出雲国風土記』には、意宇郡に隣接する大原郡の郡司少領に「額田部臣」の名があり、同郡の中心地には額田部臣押嶋が建立した寺院があるとの記録があります。このように、額田部は特定の地域で重要な役割を果たしていたことがわかります。

奈良時代における動向

奈良時代には、額田部の屋敷でさまざまな人物が集い酒宴を開く場面が見られます。特に橘奈良麻呂の乱の際には、賀茂角足が他の豪族と共に額田部の屋敷で酒を楽しんだという記録があります。これは額田部がただの部族以上の、政治的な交流の場でもあったことを示しています。

まとめ

額田部は古代の日本において、政治・社会的なさまざまな役割を果たした重要な部族であり、皇族や出雲の勢力との関係においても重要な役割を担っていました。その長い歴史の中で、額田部は多くの文化的・歴史的影響を与え，また、その活動がどのように古代社会構造に貢献したのかを考察することは、日本の歴史を理解するうえで欠かせない要素となります。

このような額田部の歴史的背景や地理的な側面を知ることで、当時の日本社会の成り立ちや、それぞれの部族の役割をより深く理解することができるでしょう。

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