馬事公苑

馬事公苑

馬事公苑（ばじこうえん）は、東京都世田谷区上用賀にある日本中央競馬会（JRA）が運営する公園で、馬術や乗馬の普及を促進するための拠点として重要な役割を果たしています。1940年に東京オリンピックに向けて設立されたこの施設は、馬術選手の育成を目的として開かれましたが、当時の戦争の影響でオリンピックは中止になりました。その後、1964年と2020年の東京オリンピックでは、この公苑が馬場馬術の競技会場として使用されました。

馬事公苑は、現在馬事に関するさまざまな活動が行われる公共施設として、馬術競技場や調教場、乗馬の体験施設などが用意されています。特に、乗馬趣味を楽しむための乗馬体験ができるスペースが設けられ、競馬騎手の講習会も行われています。かつては国営競馬及び日本中央競馬会（JRA）の騎手養成所として機能しており、1982年に競馬学校の設立以降、騎手の養成はそちらに移行されました。

馬事公苑には、様々な競技会が定期的に開催されており、関東地区における主要な馬術競技会場となっています。例えば、JRA馬事公苑馬術大会や東京馬術大会、東京障害飛越選手権などが実施されており、一部の競技会では競技馬の貸与も行われています。この施設は、近隣にある東京農業大学の馬術部の拠点ともなっています。

毎年、秋分の日の「愛馬の日」では流鏑馬などの伝統馬事芸能が披露され、また、馬に親しむ日（年8回程度）には体験乗馬や馬車運行といったイベントも実施されています。一年に一度の特別なホースショーも開かれ、JRA馬事公苑馬術大会として馬場障害競技が行われ、様々なパフォーマンスが観客を魅了します。このように、馬事公苑は馬文化の普及と発展に貢献しています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定すると、馬事公苑は馬場馬術、障害馬術及び障害者向け馬術競技が実施される会場として選ばれました。しかし、会場整備のために2016年から休苑となり、2017年より栃木県宇都宮市に移転し、「JRA馬事公苑宇都宮事業所」としての活動が行われていました。新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックは2021年に延期されましたが、馬事公苑は2023年11月に本苑がリニューアルオープンしました。

歴史

馬事公苑の歴史は1934年に遡ります。帝国競馬協会が約5万坪の土地を購入したことから始まり、1939年には建設が着工され、1940年には正式に開苑されました。戦争の影響を受けながらも、馬事公苑は生き残り、1948年には再び騎手養成所の機能が復活しました。

1964年には東京オリンピックの馬術競技が開催され、その後も様々な馬事関連の重要なイベントが行われ続けます。1982年に競馬学校が開設され、騎手養成の全てがそちらに移管された後も、馬事公苑は多くの騎手や愛好者に愛され続けています。

施設内には本厩舎や外来馬用厩舎、インドアアリーナ、大規模なメインアリーナやグラスアリーナも完備されており、馬術競技を支えるために必要なインフラが整っています。歴史の深さを感じながら、今後も馬事公苑は新しい世代の馬術愛好者や騎手を育成し続けるでしょう。

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