高野明彦

高野明彦（たかのあきひこ）は、1956年生まれの情報学者、情報技術者です。連想情報学、関数プログラミング、プログラミング変換を専門とし、博士（理学）の学位を東京大学で取得しました。現在は、国立[[情報学研究所]]コンテンツ科学研究系教授、連想情報学研究開発センターセンター長、東京大学大学院情報理工学系研究科教授を務める傍ら、特定非営利活動法人連想出版の理事長、株式会社出版デジタル機構の最高技術顧問、日本学術会議連携会員としても活動しています。

概要

高野は、連想検索技術を用いたシステム開発の第一人者として知られています。日立製作所時代には、連想検索エンジン「Generic Engine for Transposable Association」を開発し、『マイペディア』などの百科事典の電子化に貢献しました。国立[[情報学研究所]]では、大学図書館の蔵書を連想検索するシステム「Webcat Plus」や、新書の読書案内サービス「新書マップ」を開発し、これらを統合した検索サイト「想――IMAGINE Book Search」を公開しました。

来歴

生い立ち

1956年、新潟県に生まれ、その後神奈川県で育ちました。父親は高校教師であり、詩人、作詞家、数学者としても知られる高野喜久雄です。高野は1975年に東京大学理科I類に入学し、1977年に理学部数学科に進学、1980年に卒業しました。2000年には東京大学から博士（理学）の学位を授与されています。

技術者として

1980年に日立製作所に入社し、日立研究所、システム開発研究所、基礎研究所を経て、中央研究所で主任研究員、研究ユニットリーダを務めました。日立製作所では連想検索技術の開発に取り組み、「Generic Engine for Transposable Association」を開発しました。この技術は、百科事典の電子化プロジェクト「連想的文書検索システム『DualNAVI』」や、インターネット版『世界大[[百科事典]]』「ネットで百科」の「デュアル連想検索」に実装されました。1993年から1994年にはオランダの国立数学・情報科学研究所で客員研究員、1999年から2000年には電子技術総合研究所でCOE特別研究員、2000年から2001年には早稲田大学ソフトウェア生産技術研究所で客員研究員を兼任しました。また、東京電機大学や東京大学大学院でも非常勤講師を務めました。

研究者として

2001年、国立[[情報学研究所]]の教授に就任。連想情報学研究開発センター長も兼務し、大学図書館の蔵書を連想検索する「Webcat Plus」、新書を対象にした「新書マップ」、神田神保町の古[[書店]]街を対象にした「BOOK TOWN じんぼう」、地図情報も利用できる「神保町へ行こう」などのシステムを開発しました。これらのシステムを相互接続した「想――IMAGINE Book Search」を公開し、書籍と電子情報のシームレスな連携を実現しました。東京大学大学院情報理工学系研究科の教授も併任し、コンピュータ科学専攻の講義を担当しています。立命館大学アートリサーチセンター特別招聘教授、客員教授、日本学術会議連携会員も務めています。2005年からは連想出版理事長、2012年からは出版デジタル機構最高技術顧問を務めています。

研究

高野の研究は、連想情報学、関数プログラミング、プログラミング変換を柱としています。特に連想情報学においては、日立製作所時代から連想検索エンジンの開発に携わり、情報の関連性を数値化し、検索・表示する技術を追求してきました。「Generic Engine for Transposable Association」の開発経験を活かし、「Webcat Plus」「新書マップ」「想――IMAGINE Book Search」などのシステムを次々と開発しました。電子読書支援システムの開発にも取り組み、書籍本文だけでなく、コラムや脚注にテキスト、図版、映像を表示させ、理解を深める仕組みを構築しています。この技術は「渋沢敬三アーカイブ」や国立国会図書館の「NDLラボ」で実験的に導入されました。

受賞歴

これらの業績は高く評価され、2011年に科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞（理解増進部門）、2013年に岩瀬弥助記念書物文化賞を受賞しました。また、「想――IMAGINE Book Search」や「神保町へ行こう」などのプロジェクトも数多くの賞を受賞しています。

人物

東日本大震災を契機に、自身の研究が社会に貢献しているのかを自問自答し、アーカイブ化事業の重要性を再認識しました。特に、東京のような大都市で大規模災害が発生した場合、文化的な記憶が失われる危機感から、消滅してしまう前にアーカイブ化することの重要性を説いています。

家族・親族

父：高野喜久雄（教育者、詩人、数学者）

主な略歴

1956年：新潟県にて誕生
1975年：東京大学理科I類入学
1977年：東京大学理学部進学
1980年：東京大学理学部卒業、日立製作所入社
1993年：国立数学・情報科学研究所客員研究員
2001年：国立[[情報学研究所]]ソフトウェア研究系教授
2002年：東京大学大学院情報理工学系研究科教授
2006年：国立[[情報学研究所]]コンテンツ科学研究系教授、連想情報学研究開発センターセンター長
2008年：日本学術会議連携会員
2012年：出版デジタル機構最高技術顧問

主な著作

『電子ジャーナルで図書館が変わる』（共著、2003年）
『バイオ・情報の最前線』（共著、2005年）
『検索エンジンは脳の夢を見る――連想情報学』（共著、2008年）
『311情報学――メディアは何をどう伝えたか』（共著、2012年）

関連情報

 英語版ウィキペディア
ウィキペディア日本語版
CiNii
想 - IMAGINE Book Search
NACSIS-CAT
日立デジタル平凡社
マイペディア

外部リンク

高野明彦 - 国立[[情報学研究所]]
高野明彦 - researchmap
高野明彦 - J-GLOBAL
高野明彦 - KAKEN
* 論文一覧（KAKEN)

もう一度検索