高雄型重巡洋艦

高雄型重巡洋艦：日本海軍の誇り、そしてその最期

高雄型重巡洋艦は、大日本帝国海軍が建造した重巡洋艦です。4隻が建造され、日本海軍における最後の「一等巡洋艦」として知られています。本型より後に建造された巡洋艦はすべて「二等巡洋艦」（軽巡洋艦）に分類されました。

設計と特徴

高雄型は、先行する妙高型をベースに設計されました。設計主任を務めた藤本喜久雄大佐は、妙高型の攻撃力と防御力を維持しつつ、居住性の改善と艦隊指揮能力の向上を目指しました。その結果、大型の塔型艦橋が特徴的な艦となりました。艦橋は、防御区画の短縮を考慮して煙突の上に配置されたという設計上の理由も持ち合わせています。

妙高型との主な違いは、魚雷発射管の位置が中甲板から上甲板に変更された点です。これは、被弾時の被害拡大を防ぐとともに、運用上の利便性を高めるためでした。しかし、艦上構造物の大型化は重心の上昇を招き、速力や安定性において妙高型をやや下回ることになりました。第四艦隊事件を受け、高雄と愛宕は艦上構造物の縮小工事を行い、重心の低下を図りました。

武装

主砲は、妙高型と同様に三年式二号20cm（50口径）砲を採用しました。新型のE型砲塔は、対空射撃を考慮して最大仰角70度に設定され、対空砲弾用の専用の揚弾機も備えられました。しかし、砲弾重量が重すぎるため射撃間隔が長く、発射速度は必ずしも実戦向きとはいえませんでした。これは、イギリスのカウンティ級重巡洋艦でも同様の問題が発生していました。

高角砲は十年式12cm（45口径）高角砲4基4門でしたが、対空防御の強化のため、高雄と愛宕は八九式12.7cm（40口径）連装高角砲に換装されました。摩耶は主砲塔1基を撤去して高角砲を増設しました。近接防御火器も、初期装備の機関砲や機銃から九六式25mm機銃や九三式13mm機銃へと順次強化されました。

魚雷発射管は、61cm水上魚雷発射管連装4基で、九〇式魚雷16本を搭載しました。魚雷発射管は上甲板に配置され、被弾時の被害を軽減する工夫が施されました。高雄と愛宕は後に発射管を4連装4基に換装し、魚雷も九三式魚雷に更新されました。航空設備はカタパルト2基と水上機2機を搭載していましたが、高雄と愛宕は改装により格納庫を廃止し、露天繋止方式に変更されました。

防御

水線部装甲は102mmで、舷側に12度の傾斜をつけた傾斜装甲を採用しました。これは同世代の重巡洋艦と比較しても高い防御力を誇っていました。弾薬庫側面は127mm装甲、水平防御は38mm装甲（弾薬庫上面は47mm）を備えていました。水線下にも装甲を施すなど、防御力の向上に努めましたが、装甲重量増加の影響で喫水線が上昇しました。

砲塔防御については、弾片防御に必要な25mm装甲に留まりました。これは、日本海軍が水雷戦隊重視の戦術を取っていたことと、巡洋艦に高い速力を求めたことに起因しています。速力確保のため装甲重量を削減する一方で、砲塔防御よりも速力と運動性を優先した設計と言えるでしょう。

戦歴

太平洋戦争において高雄型は各地で活躍しましたが、レイテ沖海戦で高雄以外の3隻が沈没しました。唯一生き残った高雄も、終戦時にはシンガポールで艦尾切断状態であり、行動不能な状態でした。

改高雄型とミューロック丸

改高雄型は、ロンドン海軍軍縮条約以前の計画で、高雄型の改良型として計画されました。高角砲を八九式12.7cm連装砲に換装、防御能力を強化する一方、機関は高雄型と同じであったため速力は低下すると見込まれていました。

アメリカ合衆国のエドワーズ空軍基地（旧ミューロック陸軍飛行場）には、高雄型を模した攻撃標的「ミューロック丸」が存在していました。木材と金網、タール紙で造られたこの標的は、航空訓練の標的として使用されました。

フィクション作品への登場

高雄型は、映画『ゴジラ-1.0』など、いくつかのフィクション作品に登場しています。

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第6巻 重巡Ⅱ』（光人社、1989年）
丸スペシャル121号『重巡高雄型』（潮書房、1987年）
* 歴史群像シリーズ特別編集『世界の重巡洋艦パーフェクトガイド』（学習研究社、2007年）

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