鬼車

鬼車（きしゃ）

鬼車は、中国に伝わる怪鳥であり、様々な文献にその姿が記されています。

各文献における記述

捜神記: 羽衣を失った女性が鳥として飛び去る物語が記されています。この羽衣女が後に鬼車と呼ばれるようになったとされています。
太平御覧: 斉の国に棲む、9つの頭を持つ赤い鳥として記述されています。その鳴き声は不吉な兆候とされていました。
嶺表録異: 9つの頭を持つ鳥で、人間の魂を奪うとされています。犬に噛まれた頭から血を滴らせ、その血を浴びた家には不幸が訪れると信じられていました。
正字通: 「鶬虞」という名で記述され、ミミズクに似た鳥で、夜に活動するとされています。
斉東野語: 10個の頭のうち1つを犬に噛み切られた鬼車が、人家に血を滴らせて害をなすとされています。鬼車の鳴き声を聞いた者は、灯りを消し、犬をけしかけて追い払ったと伝えられています。

鬼車の起源に関する説

鬼車の起源については、いくつかの説があります。

女岐との関連: 人の子を奪って養子にするといわれる神女「女岐」の伝説が、鬼車の起源に関係しているという説があります。「女岐は夫もいないのになぜ9人も子供がいるのか」という楚辞の一節が、鬼車と子供にまつわる話と結びつき、「九子」が「九首」と誤って伝えられたことで、9つの頭を持つ鳥として広まったと考えられています。
* 姑獲鳥との関連: 鬼車、羽衣女、女岐の伝承が統合された鬼神「姑獲鳥」と同一視されることがあります。そのため、鬼車が姑獲鳥の別名とされることもあります。

犬に噛まれた頭に関する異説

犬に噛まれたとされる鬼車の頭について、周王朝の宰相・周公旦の庭師に撃ち落とされたという説も存在します。

鬼車は、その異様な姿と恐ろしい伝承から、人々に畏怖されてきた妖怪です。しかし、その起源を辿ると、様々な伝承や信仰が複雑に絡み合っていることがわかります。

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