鶉野飛行場

鶉野飛行場の歴史と特徴

鶉野飛行場（うずらのひこうじょう）は、兵庫県加西市に存在した歴史ある飛行場で、かつては防衛省の管理下にありましたが、2016年6月に加西市に譲渡されました。この飛行場は、第二次世界大戦中に川西航空機姫路製作所の専用飛行場として建設され、姫路海軍航空隊や筑波海軍航空隊分遣隊の訓練基地としても利用されました。特に特攻隊の出撃拠点として知られており、意義深い歴史を持っています。

歴史的背景

鶉野飛行場は、1942年12月に建設され、1943年10月1日に航空隊が開設されました。本飛行場の完成は1944年5月で、戦局が厳しくなる中、海軍と陸軍の航空機製造が進む中で、その役割はますます重要なものとなりました。防空機銃や爆薬庫などの防衛施設も備えられ、軍事的な拠点として機能しました。

当時、川西航空機では紫電や紫電改が製造され、飛行場では九三式中間練習機や九七式艦上攻撃機などが運用されていました。総工費は約1,668万7219円、滑走路は全長1,200メートル、幅60メートルで、周囲の支援施設も充実していました。しかし、戦局の激化に伴い、特攻が始まると、訓練生が特攻隊に編成されることが増加しました。

特攻隊の活動

1944年10月から始まった特攻作戦では、日本の航空機と搭乗員が不足する中、鶉野飛行場でも特攻隊が編成されました。1945年2月8日、姫路海軍航空隊のパイロットたちが集められ、特攻隊「白鷺隊」として出撃しました。この編成には、優れた操縦技術を持つ63名が選ばれ、彼らは命を捧げたのです。

不時着事故と影響

飛行場の歴史においては、悲劇的な出来事もありました。1945年3月31日、試験飛行中の紫電改がエンジントラブルを起こし、北条線の線路に不時着しました。この事故により、列車が脱線し、多くの死傷者が出ました。この事件は長い間「軍の機密」として公表されませんでした。

平成以降の変遷

戦後、鶉野飛行場は閉鎖され、引揚者が集まる入植地となりました。現在、滑走路跡地はほぼそのまま残っており、周囲には自衛隊の訓練施設も含まれています。遺構の一部は山林や神戸大学の構内に残存しており、地域の歴史を物語っています。2008年には映画『火垂るの墓』のロケ地としても使用されました。

また、鶉野飛行場資料館が2014年に開館し、当時の資料や模型が展示されています。この資料館は地域の歴史を学ぶ場としても貴重です。

未来に向けた取り組み

加西市は、鶉野飛行場跡を「歴史遺産群ゾーン」、「防災ゾーン」、「レクリエーションゾーン」の3つに分け、整備を進めています。現在、町の人々や観光客が訪れ、地域の文化や歴史を伝える役割を果たしています。交通の便も良く、周辺には観光スポットが豊富で、多くの人々にとって訪れる価値のある場所となっています。

鶉野飛行場の歴史は単なる一時代を超え、現代にも引き継がれています。ここから得られる教訓や歴史的な意義は、次世代に大切にしていくべきものです。このような歴史的な飛行場が地域の文化や教育に寄与し続けることを願ってやみません。

もう一度検索