黄皓

黄皓について

黄皓（こう こう）は、中国の三国時代において、蜀漢に仕えた宦官の一人である。彼は卑しい身分から出世を果たし、特に劉禅からの寵愛を受けて権力を掌握し、蜀漢の政治を実質的に壟断した。この結果、黄皓の行動は蜀漢の滅亡を招く大きな要因となった。

経歴の起点

黄皓の権力基盤は、諸葛亮の死後に築かれた。彼は当初、監視役の董允の下で「黄門丞」という低い役職にあったが、陳寿の記録によれば、黄皓は陳祗の政権に接近し、彼の後を継ぐことで黄門令に昇進した。これは258年のことで、陳祗の死を機に黄皓は急速に権力を掌握し、中常侍および奉車都尉の地位を獲得した。

姜維との対立

景耀5年（262年）、黄皓は姜維を排除し、閻宇を登用しようとする計画を立てた。これは彼の独断ではなく、他の高官もこれに同調していた。姜維は黄皓の権力の誤用を憎み、劉禅に対して黄皓の処刑を求めたが、その願いは叶わなかった。そのため、姜維は自らの身の危険を感じ、成都への帰還を断念する事態となった。また、黄皓は史実の著者である陳寿を憎み、官職を免じることで知られた。

家族と他の宦官との関係

甘陵王劉永も黄皓の権力に悩まされ、卑屈な行動を取っていた。その結果、黄皓は彼を讒訴し、劉永は十年にわたり朝廷に対するアクセスを奪われた。また、黄皓が他の高官に及ぼした影響力は依然として強力で、政治の混乱の元凶となっていたが、彼自身は直接権力を持っていなかった。

敵国との状況

一方、呉の薛珝は蜀の内部事情を理解しており、黄皓の影響を見抜いた上で「主は暗愚で、臣下は自らの身を守ることにしか興味がない」と冷静に評している。これが、蜀が魏からの攻撃に対する備えを整えることを妨げる原因の一つとなった。

蜀漢滅亡とその評価

景耀6年（263年）、黄皓は姜維の援軍要請を無視し、蜀には迎撃体制が整わぬまま魏軍の攻撃に対応する戦況が続いた。蜀漢が滅亡した後、黄皓は逮捕され、鄧艾の手による邪悪な計画が彼の身を危険にさらした。
黄皓は贈賄によって一時的に死を免れたが、最終的には司馬昭の命令で処刑され、彼の政権における悪行が明らかになる。

文学における評価

小説『三国志演義』では、黄皓は劉禅の下で早期から権力を握る佞臣として描かれ、姜維の排除や江油城の落城の隠蔽など、蜀漢の滅亡を引き起こす主要な人物とされています。黄皓の評価は、歴史の流れにおいて厳しいものとなっており、彼が蜀漢の権力を壟断したことは多くの歴史家によって指摘されている。

このように黄皓の生涯は、蜀漢の衰退を招く政治的な混乱の象徴として位づけられ、その冷徹な権謀は後世に警鐘を鳴らし続けている。

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