Ω-6脂肪酸

ω-6脂肪酸：必須脂肪酸と健康への影響

ω-6脂肪酸は、私たちの体にとって重要な不飽和脂肪酸の一種です。炭素-炭素二重結合の位置が、脂肪酸のメチル末端から6番目の炭素にあることが特徴です。代表的なω-6脂肪酸であるリノール酸は、体内でγ-リノレン酸やアラキドン酸などに代謝され、プロスタグランジンE2などの生理活性物質の材料となります。

生合成と必須脂肪酸としての役割

植物や微生物は、酵素の働きによりリノール酸を合成できますが、ヒトを含む動物はこれらの酵素を持たないため、リノール酸を体内で合成することができません。そのため、リノール酸は必須脂肪酸として、食事からの摂取が不可欠です。

リノール酸は、体内ではリノレオイルCoAデサチュラーゼによってγ-リノレン酸に、さらにアラキドン酸に変換されます。このアラキドン酸は、様々な生理活性物質であるエイコサノイドの前駆体となります。アラキドン酸から生成されるエイコサノイドは、炎症やアレルギー反応に関与するなど、生理作用が非常に多岐に渡ります。この一連の反応は「アラキドン酸カスケード」と呼ばれ、炎症やアレルギー、アテローム性動脈硬化症、喘息、関節炎、血管疾患、血栓症、免疫炎症、腫瘍増殖など、様々な疾患と関連付けられています。

ω-3脂肪酸とのバランス

ω-6脂肪酸とω-3脂肪酸は、代謝経路において競合関係にあります。そのため、両者の摂取バランスが非常に重要です。ω-6脂肪酸の過剰摂取とω-3脂肪酸の不足は、炎症性物質の増加につながり、アレルギーや様々な疾患リスクを高める可能性が示唆されています。うつ病患者では、ω-6脂肪酸から生成される炎症性物質のレベルが高いことが報告されています。

摂取基準と食品

国際的な脂質研究機関であるISSFALは、リノール酸の1日の摂取量を全カロリーの2%（4-5g）としています。一方、日本の食事摂取基準（2015年版）では、健康な人におけるω-6脂肪酸欠乏症の報告がなく、具体的な必要量や上限量は設定されていません。しかし、過剰摂取によるリスクが懸念されています。日本人のω-6脂肪酸摂取量のほとんどはリノール酸であり、ベニバナ油、グレープシードオイル、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、ゴマ油などに多く含まれています。

まとめ

ω-6脂肪酸は、体にとって必要な必須脂肪酸ですが、過剰摂取やω-3脂肪酸とのバランスが健康に大きな影響を与えます。適切な摂取量を意識し、ω-3脂肪酸を含む食品もバランスよく摂取することが重要です。現代の食生活では、ω-6脂肪酸の摂取過多が問題となる場合があるため、植物油の種類や摂取量に注意し、より健康的な食生活を送るように心がけましょう。 バランスの良い食事を心がけ、健康的な生活を送りましょう。

もう一度検索