あいさつの魔法。

「あいさつの魔法。」とは

「あいさつの魔法。」は、ACジャパンが2010年度に展開した公共広告作品、およびそのCMで使用された楽曲です。挨拶をテーマに、特に小学校低学年までの子供たちを対象に、挨拶をすることの楽しさを伝えています。東急エージェンシー北海道支社とモーニングが制作を担当しました。

タイトルについて

当初、ACジャパン公式サイトでは「あいさつの魔法。」と句点付きで表記されていましたが、後に句点なしの「あいさつの魔法」に変更されました。報道機関でも表記の揺れが見られましたが、ACジャパンの公式な表記も句点なしに統一されました。

歴史

制作開始

2010年1月に制作に関するプレゼンテーションが行われ、同年3月初旬に制作が決定しました。同年5月までにCMが完成しました。

キャンペーン開始

2010年7月からACジャパンの全国キャンペーンの一環として展開が開始されました。

東日本大震災の影響

2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、多くの企業がCM放送を自粛しました。その結果、ACジャパンのCMが大量に放送されることになり、「あいさつの魔法。」も注目を集めました。

キャンペーン終了

2011年6月30日に、2011年度キャンペーンへの切り替えのため、全国キャンペーンの展開が終了しました。

キャンペーンの内容

「あいさつの魔法。」では、挨拶を単なるマナーとしてではなく、人々との関係を深める「魔法の言葉」として捉え、挨拶をするたびに友達が増えていく様子を描いています。

展開メディア

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなど幅広いメディアで展開されました。

テレビCM

アニメーションで制作され、15秒、30秒、60秒の3バージョンがあります。歌に合わせて男の子（あいさつ坊や）が挨拶をすると、挨拶と名前を掛け合わせた動物たちが登場し、友達が増えていく様子が描かれています。

ラジオCM

テレビCMの音楽とナレーションで構成され、20秒、40秒の2バージョンがあります。

新聞・雑誌広告

挨拶を勧めるメッセージとともに、テレビCMに登場するキャラクターの説明が掲載されています。

インターネット

日本語字幕と英語字幕付きの30秒バージョンの動画が公開されています。

制作の意図

東急エージェンシー北海道支社によると、制作当初からアニメーションで制作する考えがあり、動物を題材にしたのは「生き物はみな『仲間』だから」という理由からです。

イラスト

イラストはyukky氏が担当しました。東急エージェンシーは、yukky氏の起用理由について「多くのキャラクターを描き分けられる実力があり、かわいらしすぎず、媚びないタッチで、子供だけでなく大人の心にも響くキャラクターを作れる」と考えたからだと述べています。yukky氏は、CM監督から名前と動物が書かれた原稿を受け取り、自由に描いて良いと言われたものの、どこまで独創的にして良いか悩んだと語っています。キャラクターは、いわゆる「ゆるキャラ」として、個性的で不思議な魅力を持つと評されています。

音楽

テレビ・ラジオCMの音楽は、札幌の音楽プロダクション、ジョーダウンが制作しました。曲名はCMタイトルと同じ「あいさつの魔法。」で、歌は野々歩（松本野々歩）さんが担当しています。東急エージェンシーは、野々歩さんの起用を曲制作前から決定していました。作詞はコピーライターの関ひとみ氏と、クリエイティブディレクターの若浜明子氏が担当しました。野々歩さんはCM最後のナレーションも担当しています。作曲・編曲は飛渡健次郎氏とSaKi（嶋倉紗希）氏が担当しました。SaKi氏は音楽中の動物たちのキャラクターボイスも担当しています。

「ポポポポ〜ン」のフレーズ

CMの歌詞には「ポポポポ〜ン」というフレーズが登場します。これは、友達が登場するときの音として面白い擬音や言葉を歌詞に盛り込むという企画当初からの考えを反映したものです。当初は「ポポン」という言葉が考案されましたが、最終的にSaKi氏の発案で「ポポポポ〜ン」となりました。このフレーズは平仮名で「ぽぽぽぽーん」などと表記されることもありますが、CM中では片仮名で表記されています。

登場キャラクター

12種類のキャラクターが登場します。これらの動物は、キャラクターとしての分かりやすさに加え、見知らぬ人に挨拶をする勇気をもたらす式神や守り神のような存在としてデザインされました。

あいさつ坊や（ジョン・太郎・ハロー）

赤い蝶ネクタイと黄色いテンガロンハットを身につけた男の子で、常に笑顔を絶やしません。あいさつ小学校の人気者で、新聞・雑誌広告でのみ名前が登場します。

あいさつガール

黄色のワンピースと赤いリボンをつけたポニーテールの女の子です。あいさつ坊や同様、常に笑顔で、明るい挨拶で人々を笑顔にします。

こんにちワン

イヌのキャラクターで、あいさつ坊やの親友です。運動神経が良く、玉乗りが得意です。

ありがとウサギ

バレリーナの格好をしたウサギで、心優しい性格で温かい挨拶をします。

こんばんワニ

星の付いた指し棒を持つワニで、天体観測の仕事をしています。

さよなライオン

たてがみが人間の手を模したライオンで、別れ際も楽しくできるように人々を笑わせるのが好きです。

おはよウナギ

シルクハットをかぶったウナギのマジシャンで、早起きが趣味です。

いただきマウス

右耳にご飯が盛られた茶碗のネズミで、エプロンと眼鏡をかけています。ごちそうさマウスの母親です。

いってきまスカンク

モヒカン刈りのスカンクで、冒険家です。yukky氏が特に気に入っているキャラクターです。

ただいまマンボウ

実際のマンボウを模した頭部から手足が生えたマンボウで、魚屋の息子です。

ごちそうさマウス

耳が茶碗のネズミで、いただきマウスの息子です。

おやすみなサイ

パジャマを着たサイで、枕を持ち、占い師をしています。

登場メディアの比較

各キャラクターの登場メディアは以下の通りです。

キャラクター	テレビCM	ラジオCM	新聞・雑誌	インターネット
-	-	-	-	---
あいさつ坊や	○	×	○	○
あいさつガール	○	×	○	○
こんにちワン	○	○	○	○
ありがとウサギ	○	○	○	○
こんばんワニ	○	○	○	○
さよなライオン	○	○	○	○
おはよウナギ	○	○	○	○
いただきマウス	○	○	○	○
いってきまスカンク	△	○	○	○
ただいマンボウ	○	○	○	○
ごちそうさマウス	○	○	○	○
おやすみなサイ	○	○	○	○

スタッフ

広告会社・制作会社：東急エージェンシー北海道支社、モーニング

エグゼクティブクリエイティブディレクター：根本信男

クリエイティブディレクター：若浜明子

アートディレクター：中西“サビ”一志

CMプランナー：片岡典子

コピーライター：関ひとみ

制作会社プロデューサー：後藤正和

CMディレクター：松永芳郎

イラスト：yukky

音楽制作プロデューサー：冨井昭次（ジョーダウン）

ナレーション：野々歩

ビデオ編集者：斎藤英樹

ミキサー：河野武史

制作進行：杉野真紀

公共広告としての評価

ACジャパンの専務理事である草川衛氏は、公共広告制作の難しさを指摘した上で、「あいさつの魔法。」は「うまく噛み合った例」であると評価しています。

受賞

第51回全北海道広告協会賞グランプリを受賞しました。

反響

東日本大震災後、ACジャパンのCMが頻繁に放送されたことで、「あいさつの魔法。」は全国的に大きな反響を呼びました。特に、その中毒性のある音楽と個性的なキャラクターが話題となり、多くのメディアで取り上げられました。

肯定的な意見

視聴者からは、「癒される」といった肯定的な意見が多く、特に子供や母親層に人気がありました。動画サイトでは二次創作も活発に行われ、多くのMAD動画が制作されました。

否定的な意見

一方で、被災者からは「辛い歌」という意見や、「被災しているときに、あいさつしなさいというのはどうか」という苦情も寄せられました。しかし、放送が中止されることはありませんでした。

関係者のコメント

歌を担当した野々歩さんは「複雑な思いでテレビの中の自分の声を聴いていた」と語り、曲を制作したSaKiさんは「災害番組の合間にあいさつ促進のCMは…個人的には不謹慎」と評しています。

二次創作

動画サイトでは、「あいさつの魔法。」を用いた多くのMADムービーが制作され、キャラクターの変身や合体ロボットなどの作品も登場しました。

テレビ番組でのパロディ

『笑点』や『金曜スーパープライムザ・富士山大解剖スペシャル!!』などのテレビ番組でパロディとして取り上げられました。また、漫画やアニメでもネタとして使われることもありました。

スポーツ選手への影響

阪神タイガースのマット・マートン選手がCMのフレーズを口にするなど、スポーツ選手にも影響を与えました。

認知度と商品化

「あいさつの魔法。」は、通常数十億円かかる認知度を獲得したとされており、キャラクターの商品化に関する問い合わせがACジャパンに殺到しました。

流行語としての反響

「ポポポポーン」というフレーズは流行語となり、オリコンのアンケートで3位、セーラー万年筆のアンケートで2位、週刊文春の流行語グランプリで7位にランクインしました。また、ネット流行語大賞では金賞を受賞しました。ユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされました。

CM好感度

CM総合研究所によると、「あいさつの魔法。」は2010年度のACジャパンのCMの中でも好感度が高く、2011年上半期のCM好感度ランキングでは、ACジャパンのCMが1位を獲得しました。

その他

幼稚園や小学校からの素材貸し出しの申し込みが多かったことが、ACジャパンから報告されています。

外部リンク

あいさつの魔法｜広告作品アーカイブ｜ACジャパン
SaKi Official web site - 制作（作曲・キャラクターボイス）担当者の公式サイト。
* nononootoshimono - 制作（歌）担当者の公式サイト。

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