あずさ (列車)

JR東日本特急「あずさ」「かいじ」：中央東線の歴史と現在

特急「あずさ」は、JR東日本が新宿駅と松本駅間を中央本線・篠ノ井線経由で運行する特急列車です。本記事では「あずさ」に加え、甲府駅発着の「かいじ」、過去に運行されていた「スーパーあずさ」についても、中央本線の歴史と合わせて解説します。

1. 概要

「あずさ」は1966年12月12日、新宿～松本間で1日2往復の運行を開始しました。1977年の狩人による楽曲『あずさ2号』の大ヒットにより知名度が飛躍的に向上しました。1988年には山梨県内止まりの列車が「かいじ」として分離され、1994年から2019年までは一部列車が「スーパーあずさ」として運行されました。現在、定期列車は「あずさ」16往復、「かいじ」14往復が運行されています。

2. 列車名の由来

特急「あずさ」の愛称は公募で決定されました。松本市の上高地を流れる梓川に由来します。「かいじ」は山梨県の旧国名である甲斐国に由来し、「甲斐路」を意味します。両愛称は、過去に臨時列車や準急、急行列車にも使用されていました。

3. 運行概況

2023年3月現在、「あずさ」は新宿～松本間が中心ですが、東京駅発着や、千葉駅、南小谷駅発着の列車もあります。「かいじ」は主に新宿～甲府間で運行され、東京駅発着や竜王駅発着の列車も存在します。新宿～甲府間では、「あずさ」と「かいじ」を合わせて毎時2本の運行を基本としています。2020年までは、千葉～南小谷間の長距離直通運転もありました。

4. 停車駅

新宿駅では主に9・10番線、甲府駅では下り1番線、上り2番線を使用します。松本駅では1～4番線を使用します。その他、臨時停車駅として中野駅、高尾駅、相模湖駅、勝沼ぶどう郷駅、甲斐大和駅、酒折駅などが挙げられます。

5. 使用車両・編成

現在、「あずさ」と「かいじ」はE353系電車で運行されています。基本編成9両、付属編成3両を併結した12両編成と9両編成が混在します。「あずさ」の一部列車は、富士急行線直通特急「富士回遊」と連結して12両編成で運転されます。2019年以降、定期列車は全てE353系に統一され、全車指定席となりました。一部臨時列車にはE257系電車も使用されます。

過去の使用車両としては、181系、183系、189系、E351系、E257系などが挙げられます。これらの車両は、運行開始から現在に至るまでの技術革新や輸送力増強の歴史を物語っています。

6. 運転速度と所要時間

新宿～松本間の所要時間は最短で2時間29分です。表定速度は約90km/hと在来線特急としては高速ですが、山間部を走る路線特性や、中央線快速電車との線路共有により、速度向上の課題が残されています。過去の車両では、所要時間が4時間近くかかっていた時代もありました。

7. 臨時列車

過去には様々な臨時特急列車が運行されてきました。「甲信エクスプレス」は山梨・諏訪エリアから長野駅を経由して北陸新幹線へ接続する列車でした。「木曽あずさ」は新宿～南木曽駅間を辰野駅経由で運転されました。「はまかいじ」は横浜～松本間を東海道本線・横浜線・中央本線・篠ノ井線経由で運行され、2019年に廃止となりました。「信州かいじ」「むさしのかいじ」「ちばかいじ」「山かいじ」なども運行されていました。これらの臨時列車は、季節イベントや地域活性化を目的として運行されています。

8. 特別企画乗車券

過去には「あずさ回数券」が設定されていましたが、現在は「トクだ値」が一部列車・区間で利用可能です。

9. 中央東線優等列車沿革

中央東線の有料優等列車の歴史は、戦後1948年に始まりました。当初は臨時夜行準急列車が運行され、その後定期列車化、愛称の付与、格上げなどが繰り返され、現在の「あずさ」と「かいじ」へと繋がっています。1966年の特急「あずさ」運転開始以降、車両の更新、ダイヤ改正、愛称変更など、数々の変化を経てきました。この歴史には、技術革新、社会情勢の変化、そして地域住民の要望などが反映されています。

この解説記事を通して、「あずさ」と「かいじ」の運行の歴史と現状、そして中央東線の優等列車の変遷を理解していただければ幸いです。

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