いしかり (護衛艦)

いしかり（JS Ishikari, DE-226）

いしかり（JS Ishikari、DE-226）は、日本の海上自衛隊が保有する護衛艦であり、昭和52年度に計画されて唯一建造されました。艦名は北海道の石狩川に由来し、旧海軍を通じて初めてこの名前が用いられました。建造にかかる費用はおおよそ127億200万円で、艦艇設計や運用面で数々の革新をもたらしました。

来歴

海上自衛隊の初期には、比較的小型の駆潜艇が多く使用されていましたが、技術の進展に対応するためには、より大きく、強化された装備を持つ艦艇が求められるようになりました。そのため、護衛艦の大型化と装備の強化が計画され、基準排水量約1,000トン、全長80メートル級の沿岸警備艦（PCE）が導入されるとしました。しかし、戦略的な海峡の封鎖作戦を考慮すると、このサイズでは不十分で、さらに大型の艦艇が必要とされました。その結果、90メートルから100メートル級の艦艇設計が採用されました。

さらに、対潜戦を重視する1970年代初頭、仮想敵国であったソビエト連邦の海軍艦艇が持つミサイル能力への対抗策として艦対艦ミサイルの導入が求められ、いしかりにその設計が反映されています。

設計

いしかりは、護衛艦として初のガスタービン主機関を搭載しています。この選択により、艦の設計には新たな船型、すなわち中央船楼型が採用されました。この船型の採用により、艦首の乾舷が下がるため、より安定した航行が可能となりました。艦橋には独特の構造が盛り込まれ、アルミニウム合金が使用されています。これにより、艦の重量が軽減され、性能向上に寄与しました。

また、艦内には機関区画や支援区画が整理されて配置され、合理的な運用を考慮した設計が施されました。フィンスタビライザーも装備され、艦の安定性が確保されています。

機関

ガスタービンの導入に対しては慎重な姿勢があったものの、本艦ではCODOG（Combined Diesel or Gas）方式が採用されています。この方式により、推進力が向上し、高速航行が可能となります。また、可変ピッチ・プロペラ（CPP）を初めて採用し、船の運動性能をさらに向上させています。電源供給や発電機も効率的に配置され、実戦では2基の主発電機が協力して作動されます。

装備

いしかりは最新のレーダー機器を搭載しており、対空警戒能力を持つOPS-28-1などが装備されています。ソナーについては、SQS-36D(J)という優れた探知能力を持つ可変深度ソナーが搭載され、対潜戦における性能を向上させています。一方で、艦対艦ミサイルとしてハープーン ブロック1Aを装備し、海上自衛隊では初の試みとなりました。

艦艇は対潜戦に特化したシステムを持ち、アスロックの代わりに375mmと324mmのロケットランチャーと短魚雷発射管が搭載されています。また、砲兵器としても先進的な76mm速射砲が装備されており、近接戦闘能力が向上しています。

艦歴

いしかりは1979年に建造が始まり、1981年に就役し、大湊地方隊に所属しました。その後、複数の部隊編成を経ながら、26年間にわたって運用されました。観艦式や航空機救難活動、災害派遣など、多くの任務を遂行し、2007年に除籍されました。

この艦は海上自衛隊における重要な役割を果たし、護衛艦としての革新と技術の進展を象徴する存在であり続けました。

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