えちぜん鉄道L形電車

えちぜん鉄道L形電車

えちぜん鉄道が保有するL形電車は、路面電車の一種で、2車体連接・2台車の超低床電車です。この車両は「ki-bo」という愛称で知られており、主に自社の三国芦原線と福井鉄道福武線との相互直通運転「フェニックス田原町ライン」に利用されています。2016年3月からの営業運転を開始し、娯楽と便利さの両方を提供する重要な役割を果たしています。

導入の背景

えちぜん鉄道三国芦原線と福井鉄道福武線は、福井市の田原町駅で接続しています。この接続を利用し、2004年から相互直通列車の運行計画が進められました。複数の関係者が集結し、2012年11月には、2015年度から運行を開始することが決定しました。

福井鉄道は2013年に福武線用のF1000形電車を導入し、これを受けてえちぜん鉄道も新型車両の導入を検討しました。最終的にL形電車が採用され、車両調達コストの圧縮と運行の効率化が図られました。導入費用は2編成で6億円となり、国と福井県により半分ずつ負担されました。

車両の特長

L形電車は、新潟トランシス製の超低床電車で、他の同系列車F1000形とは異なり、2車体連接車の形態をとっています。各編成はA車とB車に分かれ、集電装置は屋根上に設置されています。車両の長さは合計18.7メートルで、車体の幅は2.65メートルです。また、床面の高さは39センチメートルで、入り口付近では33センチメートルとなっており、乗客にとっての利便性が高められています。乗客定員は100名で、座席は2人掛けのクロスシートを基本とし、車椅子・ベビーカーの優先スペースも設けられています。

台車はボルスタレス式ボギー台車を使用し、主電動機には出力100キロワットのかご形三相誘導電動機が2台搭載されています。最高速度は72キロメートル毎時となり、VVVFインバータ制御方式で電力の供給が管理されています。ブレーキシステムも電気ブレーキと油圧式ディスクブレーキを組み合わせることで安全性が確保されています。

営業運転とその影響

L形電車の初めての搬入は2015年3月30日で、保安設備の整備を経て、2016年3月27日に営業運転が開始されました。L形は急行列車の運行に利用され、福井市とその周辺地域への交通アクセスを改善しました。運行本数は1日3往復とされ、回送列車も含め多くの便が確保されています。

2017年以降はL形とF1000形のみの運行となり、輸送力の向上が図られていますが、2020年には一編成に衝突事故が発生し、その修復が必要となりました。これにより、運行が一時的に1編成のみとなったものの、引き続き地域住民にとって重要な交通手段として機能しています。

愛称の由来

2016年2月に発表された「ki-bo」（キーボ）は、黄色の車体と「坊や」を意味する「ボ」、また「相棒」や「希望」を込めた言葉です。この愛称は福井市のデザイン事務所によって創出され、福井鉄道のF1000形と合わせることで「希望ふくらむ」という意味を持つようになっています。

えちぜん鉄道のL形電車は、地域交通の新しい可能性を開くとともに、利便性を向上させる重要な役割を果たしています。この車両の導入により、福井県内の鉄道網の整備が進み、人々の移動がより快適に、効率的に行えるようになっています。

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