おおあらい丸

大あらい丸：波乱に満ちたフェリーの一生

「おおあらい丸」は、日本沿海フェリーによって運航されていたフェリーとして1987年6月23日、大洗港からその航海の幕を開けました。当初は、大洗港と苫小牧港を結ぶ航路に就航しました。年間を通じた旅客数が比較的少なかったことから、旅客定員は808名から658名に削減されました。一方、貨物輸送能力の向上を目指し、トラックの積載台数は142台から172台に増加されました。船体の外観デザインも特徴的で、左舷側に寄せられた煙突が目を引きました。また、船体には白を基調に濃紺と水色のラインが施され、オレンジ色の煙突には社旗をモチーフにしたデザインが描かれていました。

「おおあらい丸」の就航によって、「さっぽろ丸」は東京港～苫小牧港航路へ転配されました。「おおあらい丸」は主に午前発の便を担当しました。1991年には、日本沿海フェリーがブルーハイウェイラインに社名変更し、「さんふらわあ」ブランドを統一的に採用したことに伴い、本船の船名も「さんふらわあ おおあらい」に変更されました。

その後、1998年に「さんふらわあ つくば」の就航により、「さんふらわあ おおあらい」は大阪港～志布志港航路へ転配されました。同航路では1999年4月まで活躍しました。

2001年、苫小牧～大洗航路が商船三井フェリーに移管され、「さんふらわあ おおあらい」はその傘下に入りました。しかし、2002年6月には、同航路が東日本フェリーと共同運航されることになり、「ばるな」と「へすていあ」が投入されるのに伴い、「さんふらわあ おおあらい」は、姉妹船である「さんふらわあ えりも」（旧・えりも丸）とともに引退を迎えました。

長きに渡る航海を終えた「さんふらわあ おおあらい」でしたが、その役目はまだ終わりませんでした。長崎市のハヤシマリンカンパニーに売却され、「Ferry Cosmo 3」と改名され、長崎湾に係留されました。2004年には、シャトル・ハイウェイラインに買収され「しゃとる おおいた」として横須賀港～大分港航路に就航しましたが、2007年には運航停止となりました。その後も、ギリシャのAvra Shipping（「Shuttle」）、マルタのNEL Lines（「COLOSSUS」）といった複数の船会社で運用されました。しかし、2013年にインド・ムンバイで解体され、その長い航海の生涯を終えました。

「おおあらい丸」の船内は、1等客室、特等室、1等室、2等寝台、2等客室、ドライバーズルーム、レストラン、ラウンジ、サンルーム、浴室、シャワー室などを備え、乗客と乗組員にとって快適な空間を提供していました。その設備や機能は時代の変化に合わせて改良されてきたことでしょう。

このように、「おおあらい丸」は、数々の船会社や航路を渡り歩き、日本の海運史において重要な役割を果たしました。その活躍は、多くの人の記憶に刻まれていることでしょう。そして、その波乱に満ちた歴史は、フェリーの歴史を知る上で貴重な資料となるでしょう。

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