おおくぼ良太

おおくぼ 良太

おおくぼ 良太（本名：大久保 芳正）は、1952年9月10日生まれ、千葉県八日市場市（現在の匝瑳市）出身のシンガーソングライター、コメディアンです。かつては「ゆうせん企画」に所属していました。

来歴と人物

学校長であった父のもと、本人曰く厳しい家庭環境で育ちました。千葉県敬愛高等学校（現在の横芝敬愛高等学校）機械科を卒業後、華やかなジャニーズタレントに憧れて芸能界、特にダンサーの道を志します。本格的なダンス技術を学ぶため、21歳の時にアメリカへ渡り、1年間滞在。この間、ウェイターや皿洗いなどのアルバイトをしながらエンタテインメントについて学び、タップダンスの技術を磨いて帰国しました。

帰国後はダンサーや振付師として活動する一方、1976年にはコントを取り入れたフォークグループ「チャチャーズ」を結成。しかし、「チャチャーズ」は1980年に解散し、その後はソロ活動へ移行。司会業を多く手掛ける中で、演劇的な要素を取り入れたヴォードヴィル（喜劇）への思いが募り、コメディアンの道を模索し始めます。この頃、萩本欽一への弟子入りを願うも叶いませんでしたが、後に太田プロダクション所属のグループ「ギャグメッセンジャーズ」に師事しました。

30歳を迎えた1982年11月、テレビ朝日系で放送されていた演芸番組『ザ・テレビ演芸』内の新人発掘コーナー「飛び出せ笑いのニュースター」に出場し、第16代チャンピオンに輝きます。この実績が弾みとなり、翌1983年2月5日、東急目蒲線（現在の東急目黒線、東急多摩川線）を主題にユニークな擬人化を施した楽曲「目蒲線物語」で念願のレコードデビューを果たしました。その後、テレビ朝日系のクイズ番組『クイズ!!マガジン』にもレギュラーとして出演し、活動の幅を広げました。

デビュー当時既に結婚しており、夫人は地方巡業の歌謡ショーで司会を務めるなど、夫婦ともに司会業に携わっていました。

1989年には「池袋ミュージカル学院」を開校し、2020年の閉校まで学院長として後進の指導にあたりました。近年では、2022年公開の古本恭一監督映画『CODE-D魔女たちの消えた家』に、主人公の一人であるナオの父親役として出演しています。

趣味・特技は多岐にわたり、タップダンス、ジャズダンスといったダンスに加え、生け花、器械体操、新体操、詩吟などもこなします。

レパートリー

おおくぼ良太の楽曲の最大の特徴は、鉄道や雑誌など、身近な事物を個性豊かに擬人化し、歌に乗せるスタイルです。代表的なものとして以下の楽曲が挙げられます。

目蒲線物語: 当時ローカル線とされていた東急目蒲線をネタの中心に据え、自らを投影するかのように「さみしい電車」「醜い三両編成」などと自虐的に歌うシリーズです。目蒲線の「家族」として東急東横線や田園都市線、池上線などが登場し、複雑な関係性が描かれます。特に池上線が本当の父親は東武東上線だと明かす展開や、赤羽線が現れて本当の母親だと告白する展開など、人間ドラマさながらの物語が展開されます。これらの路線の特徴（東上線は埼玉が近い、赤羽線は車両の色がばらばらなど）をコミカルに表現しつつも、おおくぼ本人は「ただからかっているのではなく、どの路線も頑張っていることを歌いたかった」と語っています。後に、同じ構成で登場路線を変えた「目蒲線物語（全国篇）」も制作されました。
週刊TVガイド物語: テレビ情報誌『週刊TVガイド』を擬人化した楽曲です。TVガイドの「恋愛」模様を描き、微笑、週刊テレビ番組、朝日ジャーナル、ぴあ、アサヒ芸能といった他の雑誌が登場します。微笑の婚約相手がザテレビジョンだったものの、最終的にTVガイドが微笑と略奪婚に至り、生まれたのが「めばえ」である、といったユニークな設定が盛り込まれています。サイモン&ガーファンクルやメンデルスゾーンの楽曲が挿入されています。

このほか、「太陽神戸銀行物語」（セカンドシングル候補とされた）、「練馬大根物語」、「交差点物語」など、様々な事物を擬人化したレパートリーを持っています。

ディスコグラフィ

主にビクター音楽産業より発売されました。

シングル

目蒲線物語（1983年2月5日、SV-7283）
A面：目蒲線物語
B面：実録目蒲線
※オムニバスアルバム『ジャパニーズ・コミック・ソングス』（1989年）、『珍品堂 おっ! あの人がこんな歌を…。』（1992年）に収録されCD化されています。
週刊TVガイド物語（1983年、SV-7308）
A面：週刊TVガイド物語
B面：目蒲線物語（全国篇）
兄妹の星（1983年8月21日、SV-7323）
A面：兄妹の星（椎奈愛とのデュエット）
B面：兄妹の星（カラオケ）
血液型B型の歌（1984年7月発売予定、SV-7398）※発売延期
A面：血液型B型の歌
B面：血液研究歌
顔がでかい（1985年、SV-9031）
A面：顔がでかい
B面：顔がでかい PartⅡ

アルバム

将来有望（1983年）
SIDE A:
目蒲線物語
束の間の交差点
日本体育高校物語
SIDE B:
兄妹の星
目蒲線物語（大島渚 篇）
週刊TVガイド物語
目蒲線物語（糸井重里 篇）
おやすみ
※「大島渚 篇」「糸井重里 篇」では本人が特別出演しています。

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