おかえりなさい (中島みゆきのアルバム)

中島みゆき『おかえりなさい』：セルフカバーで蘇る名曲たち

『おかえりなさい』は、1979年11月21日にリリースされた中島みゆきの6枚目のオリジナルアルバムであり、初のセルフカバーアルバムです。タイトルには、他アーティストに提供した楽曲が中島みゆき自身の歌唱によって「帰ってくる」という意味が込められています。これは後にリリースされた2作目のセルフカバーアルバム『御色なおし』にも通じるコンセプトです。

アルバムのジャケットは、神奈川県横浜市に係留されている歴史的な貨客船、氷川丸で撮影されました。この写真は、アルバムの持つノスタルジックな雰囲気を象徴しています。

発売当時のLPには、『あばよ』と『追いかけてヨコハマ』のマイナスワンレコード（7インチシングル盤）が付属しており、カラオケバージョンで楽しむことができました。カセットテープ版には、A・B両面にマイナスワンバージョンが追加収録されていましたが、残念ながらCD化はされていません。

ポニーキャニオンから発売されたオリジナル盤は廃盤となっていますが、現在でもポニーキャニオンショッピングクラブ限定で、このアルバムを含むCDボックスが販売されています。

1983年にはキャニオン・レコードからCD化され、2018年にはヤマハミュージックコミュニケーションズからデジタルリマスタリングされた現行盤CDが再発売されました。

2011年には、Tom Baker at Precision Mastering (Los Angeles) によって新たにデジタルリマスタリングされたCDがクリスタルディスク仕様で発売されました。

さらに、デジタルリマスタリングされたCDは、2012年10月25日より8枚組のBOXセット『中島みゆきBOX　私の声が聞こえますか〜臨月』として通信販売限定でリリースされています。

収録曲について

収録曲は全て中島みゆきによる作詞・作曲（一部例外あり）で、彼女が提供した数々の名曲が新たな息吹を与えられています。

1. あばよ
編曲：後藤次利
1976年に研ナオコのアルバム『泣き笑い』に提供された楽曲。その後シングルカットもされました。

2. 髪
編曲：福井峻
1978年にアルゼンチン出身の歌手グラシェラ・スサーナのシングル「さよならの鐘」のB面に提供された楽曲。「さよならの鐘」も中島の作詞・作曲で、1985年にリリースされた『御色なおし』でセルフカバーしています。

3. サヨナラを伝えて
編曲：鈴木茂
1977年に研ナオコのアルバム『かもめのように』に提供された楽曲で、後にシングル「窓ガラス」のB面としてシングルカットされました。研ナオコ版のタイトルは『さよならを伝えて』とひらがな表記です。

4. しあわせ芝居
編曲：鈴木茂
1977年に桜田淳子に提供された楽曲。中島みゆきはこの曲の歌詞で、1978年の第20回日本レコード大賞の西条八十賞（作詩賞）を受賞しています。

5. 雨…
編曲：後藤次利
1978年に小柳ルミ子に提供された楽曲。

6. この空を飛べたら
編曲：鈴木茂
1978年に加藤登紀子に提供された楽曲。アルバム『いまのきもち』にも収録されていますが、アレンジが異なります。この曲でも、中島みゆきは1978年の第20回日本レコード大賞の西条八十賞を受賞しています。

7. 世迷い言
作詞：阿久悠、編曲：戸塚修
1978年に日吉ミミに提供された楽曲で、中島みゆきとしては珍しく作曲のみの提供です。日吉ミミ版はTBSドラマ『ムー一族』内で毎回歌われました。出版者は日音とヤマハ音楽振興会です。

8. ルージュ
編曲：戸塚修
1977年にちあきなおみに提供された楽曲。後に中国香港の歌手フェイ・ウォンがカバーし、アジアで大ヒットしました。

9. 追いかけてヨコハマ
編曲：後藤次利
1978年に桜田淳子に提供された楽曲。

10. 強がりはよせヨ
編曲：福井峻
1976年に研ナオコのアルバム『泣き笑い』に提供された楽曲。「あばよ」のB面としてシングルカットもされました。研ナオコ版のタイトルは最後の「よ」が平仮名表記です。

演奏者

アルバムには、鈴木茂、後藤次利、林立夫など、日本の音楽シーンを代表するミュージシャンが多数参加しています。彼らの演奏が、中島みゆきの歌声をより一層引き立てています。

まとめ

『おかえりなさい』は、中島みゆきの才能と魅力を改めて感じることができる、貴重なセルフカバーアルバムです。提供曲を通して、彼女のソングライターとしての実力と、シンガーとしての表現力の豊かさを堪能できます。ぜひ、このアルバムを聴いて、中島みゆきの音楽世界を深く探求してみてください。

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