お嬢さん (1930年の映画)

映画『お嬢さん』について

概要

日本映画『お嬢さん』は、1930年12月12日に公開された作品で、松竹キネマが製作・配給を担当しました。この映画は、小津安二郎が監督を務めたモノクロのサイレント映画であり、全体の長さは135分です。映画には、栗島すみ子、岡田時彦、田中絹代などの著名な俳優が多数出演しており、大規模なナンセンスコメディとして多くの観客に楽しみを与えました。シナリオは北村小松が手がけ、小津はヂェームス・槇の名義でギャグマンとしても関わっています。

初回上映

初めての上映は、浅草の帝国館と京都四條の南座で行われ、副映作品として冬島泰三監督の『薩南総動員』が併映されました。この作品は、発表当初から大きな注目を浴び、後に第7回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画・現代映画部門の第2位にランクインするなど、業界内での評価も高まりました。ただし、現在ではネガフィルムや上映用プリントはほとんど残っておらず、脚本を除くほとんどの資料が失われた「失われた映画」として位置づけられています。

あらすじ

物語は、新聞社の社会部で働く岡本と斎田の二人の記者を中心に展開します。彼らは常に他紙の女性記者にスクープを先を越されて悩んでおり、その記者を「お嬢さん」と呼んでいます。ある日、「お嬢さん」と顔を合わせる機会が生まれ、岡本と斎田は彼女と共に潜入取材を行うことになります。この経験を通じて、二人は「お嬢さん」にどっぷりと魅了されていくのです。このようにして、映画は都心のジャーナリストたちの日常を描きながら、ユーモラスで風刺的な側面を持つ物語を紡いでいきます。

スタッフとキャスト

本作には多くの優れた才能が集結しています。監督は名匠小津安二郎、脚本は北村小松が担当しています。また、ギャグマンとして伏見晁や池田忠雄が名を連ね、小津自身もヂェームス・槇の名で参加しています。撮影と編集は茂原英雄が行っています。

主演には栗島すみ子が「お嬢さん」を演じ、岡田時彦が岡本、斎藤達雄が斎田を務めます。その他にも田中絹代や岡田宗太郎など豪華なキャスト陣が揃い、観客を楽しませました。

影響と結果

『お嬢さん』は、日本におけるナンセンスコメディの先駆けとして、その後の映画に多大な影響を与えたとされています。また、映画が公開された当初の評価は高く、特に小津安二郎の独特な演出スタイルや台詞回しは、後の作品においても高く評価される要因となりました。しかし、その後の失われた映画として、観客が実際に映像を見ることはできないものの、脚本や関連資料からは当時の雰囲気を感じ取ることができます。

参考文献

• - 小津安二郎『小津安二郎作品集 1』、井上和男編、立風書房、1993年
• - 田中眞澄『小津安二郎のほうへ - モダニズム映画史論』、みすず書房、2002年

このように『お嬢さん』は、時代を超えて特異な魅力を持ち続ける日本映画の一つです。

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