かじき座R星

かじき座R星について

かじき座R星（R Doradus、R Dor）は、かじき座に位置する半規則変光星です。この星は、かじき座の恒星の一つでありながら、レチクル座との境界付近に見えることも特徴です。R Doradusという名称は、変光星の命名法に基づいており、アルゲランダー記法に従っています。また、バイエル符号の「P Doradus」も与えられています。

距離と大きさ

この星は地球から約191光年の距離にあり、その実際のサイズは非常に大きいです。かじき座R星の角半径は約27.2ミリ秒と測定されており、これは既知の恒星の中でも最も大きい部類に入ります。例えば、著名な赤色超巨星であるベテルギウスは、およそ22ミリ秒の角半径を持っています。これを基に推定されるかじき座R星の半径は約1.60天文単位（au）、すなわち239,000,000キロメートルであり、太陽の約343倍の大きさです。この星が太陽系の中心に位置している場合、火星の軌道をも飲み込んでしまうことになります。

明るさ

かじき座R星の平均的な視等級は5.4等で、肉眼でもかろうじて見ることができる明るさです。しかし、赤外線領域では非常に明るく、特に近赤外線のJバンドにおける明るさは-2.6等級に達し、これはM型星の中でも1等星に相当します。具体的には、ベテルギウスの明るさは-3.0等級、アンタレスは-2.7等級であり、かじき座R星もこれに匹敵する明るさを持っています。そのため、光度は太陽の約6,830倍とされており、相対的に明るい存在となっています。

変光の特性

かじき座R星は視等級が4.8から6.6の間で変化するため、半規則型変光星のSRB型に分類されます。この星の変光周期は338日とされており、SRB型の星としては異例に長い周期を持っていることになります。また、これまでの観測データによると、332日程度の周期と175日程度の周期を示す二種類の脈動が観測されています。このことから、かじき座R星はミラ型の変光星に近づきつつあり、進化の過程にある可能性が示唆されています。

まとめ

かじき座R星は、その巨大なサイズと明るさ、さらには変光の特性から非常に興味深い天体です。今後の観測と研究によって、より多くの情報が明らかになることが期待されます。天文学者たちは、この星が進化の過程にあることを検証し、他の変光星との関係を探ることを目指しています。これにより、恒星の進化過程についての理解も深まることでしょう。

もう一度検索