きのくに志学館

きのくに志学館：和歌山県の中核を担う複合施設

和歌山県和歌山市西高松にある「きのくに志学館」は、県立図書館、県立文書館、県立図書館文化情報センターの3施設からなる複合施設です。1993年の開館以来、和歌山県における歴史資料の保存と文化活動の拠点として重要な役割を担っています。本稿では、きのくに志学館の概要、各施設の沿革、所蔵資料、そしてアクセス方法について詳細に解説します。

きのくに志学館の沿革と概要

きのくに志学館は、和歌山城内にあった県立図書館の老朽化と、和歌山城の史跡指定を背景に、1993年7月に和歌山大学経済学部跡地（旧和歌山高等商業学校跡地）に移転、新築開館しました。これは、県立博物館や県立美術館なども和歌山城から移転した時期と重なります。この移転によって、より広々とした空間と最新の設備を備えた施設が実現しました。3施設一体型の複合施設としての運営は、利用者の利便性向上に大きく貢献しています。

和歌山県立図書館：歴史と発展

和歌山県立図書館の歴史は古く、1908年（明治41年）、和歌山城二の丸において開館しました。当初は約8,000冊の蔵書からスタートし、第二次世界大戦による混乱期を経て、戦後も和歌山城内にありました。その後、老朽化や、城内における他の行政施設との共存問題を背景に、1993年にきのくに志学館へと移転しました。移転後、蔵書数の増加、施設の充実を続け、現在では和歌山県民にとって重要な学習・研究の場となっています。

和歌山県立図書館の沿革を時系列で示すと以下のようになります。

1908年6月：和歌山城内にて開館（蔵書約8,000冊）
1938年6月：2代目本館新築完成
1945年1月：海草地方事務所への一時移転
1946年6月：和歌山城内に戻る
1951年11月：紀南分館（田辺市）設置
1964年5月：紀北分館（那賀町）設置
1972年12月：紀南分館新館竣工
1993年7月：きのくに志学館に移転開館
1996年2月、1998年11月、2001年8月：延べ入館者数100万人、200万人、300万人を突破
2005年1月：県立紀南図書館（旧紀南分館）開館
2017年12月：南葵音楽文庫開設

和歌山県立図書館の開館時間

火曜日から金曜日：午前10時～午後7時（本館児童室は午後5時まで）
土日祝日：午前10時～午後6時（本館児童室は午後5時まで）
月曜日は休館日です。2007年度からは祝日も開館しています。

和歌山県立文書館：歴史資料の宝庫

和歌山県立文書館は、1993年7月にきのくに志学館とともに開館しました。古文書、公文書、行政刊行物など、和歌山県の歴史を紐解く上で貴重な資料を数多く収集・保存・活用することを目的としています。2007年3月末時点での所蔵資料数は、公文書・古文書約21,800点、行政資料約72,200点、歴史図書など約31,000点に上ります。

和歌山県立文書館の所蔵資料には以下のようなものがあります。

公文書：知事部局文書、歴史的価値のある廃棄文書、県報、官報、法令全書など
古文書：館蔵文書、寄贈文書、寄託文書など
行政資料：県議会議案書、議会時報、県統計書、市町村決算、国勢調査報告など
歴史図書：紀伊続風土記、紀伊名所図会、和歌山県史、和歌山県史料など、様々な郷土史関係資料
新聞：紀伊毎日新聞、大阪毎日新聞和歌山版、和歌山新報など、過去の和歌山県内の新聞記事

和歌山県立文書館の開館時間

平日：午前10時～午後6時
土日祝日：午前10時～午後5時
休館日は月曜日（祝日・振替休日の場合はその後の平日）、年末年始（12月29日～1月3日）、館内整理日などです。

和歌山県立図書館文化情報センター

和歌山県立図書館文化情報センターは、1993年7月にきのくに志学館の開館と同時に開設されました。図書館や文書館の機能を補完する役割を担っており、情報提供や地域文化活動の支援など、多岐にわたる活動を展開しています。

アクセス方法

南海和歌山市駅またはJR和歌山駅から、和歌浦方面行きの和歌山バスに乗車し、「高松」バス停下車、徒歩約3分です。

まとめ

きのくに志学館は、和歌山県の歴史と文化を深く理解するための貴重な拠点です。県立図書館、県立文書館、県立図書館文化情報センターそれぞれの特色を生かし、県民に開かれた施設として、これからもその役割を担い続けるでしょう。

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