きりさめ (護衛艦)

「きりさめ」（JS Kirisame, DD-104）は、海上自衛隊のむらさめ型護衛艦の4番艦であり、「霧雨」に由来する艦名を持つ初の艦艇です。本記事では、その艦歴を中心に、詳細な活動記録を辿ります。なお、本艦の性能や装備については、むらさめ型護衛艦の記事を参照してください。

艦歴

「きりさめ」は、中期防衛力整備計画に基づき、平成6年度計画の4,400トン型護衛艦として、1996年4月3日に三菱重工業長崎造船所で起工されました。1997年8月21日に進水し、1999年3月18日に就役、第2護衛隊群第6護衛隊に編入され、佐世保に配備されました。

2000年には、環太平洋合同演習（RIMPAC）に参加しました。2001年11月9日には、テロ対策特別措置法に基づく情報収集任務のため、護衛艦「くらま」、補給艦「はまな」と共にインド洋に派遣され、2002年2月まで任務に従事し、3月16日に帰国しました。2005年11月15日には、再びテロ対策特別措置法に基づき、補給艦「ときわ」と共にインド洋に派遣され、2006年3月まで任務を遂行、4月22日に帰国しました。

2007年7月には、テロ対策特別措置法に基づき、補給艦「ときわ」と共に再びインド洋に派遣されました。しかし、同年11月2日に根拠法であるテロ対策特別措置法が期限切れにより失効したため撤収し、11月22日に佐世保に帰港しました。

2008年3月26日には、護衛隊改編により第3護衛隊群第7護衛隊に編入されました。2010年12月1日には、第7次派遣海賊対処行動水上部隊として、護衛艦「ゆうだち」と共にソマリア沖・アデン湾に向けて佐世保から出航し、合計32回290隻を護衛し、2011年5月9日に佐世保に帰港しました。2011年8月1日には、編成替えにより第4護衛隊群第8護衛隊に編入されました。

2011年12月19日から23日には、中華人民共和国青島市を親善訪問しました。護衛艦の訪中は2008年6月以来2度目であり、青島出港後には中国人民解放軍海軍と親善訓練を実施しました。2012年12月20日には、第14次派遣海賊対処行動水上部隊としてソマリア沖・アデン湾に向けて佐世保から出航し、任務を終え2013年6月7日に佐世保に帰港しました。

2014年10月7日には、オーストラリアアルバニー周辺海域で行われるアルバニー船団記念式典に参加するため佐世保基地を出港しました。式典前後には、多国間共同訓練ディスタント・ショアーズに参加し、対空戦、対潜戦、対水上戦、射撃訓練などを実施しました。11月26日に帰国しました。

2016年11月20日には、第26次派遣海賊対処行動水上部隊としてソマリア沖・アデン湾に向けて佐世保から出航しました。この派遣から護衛艦は1隻体制となりました。2017年4月まで任務に従事し、帰国途上の5月23日には、フィリピン海軍の「ラジャ・フマボン」（旧護衛艦「はつひ」）と親善訓練を実施し、5月28日に佐世保に帰港しました。

2018年11月24日から29日にかけては、佐世保港及び九州西方海空域において、カナダ海軍フリゲート「カルガリー」、補給艦「アステリクス」と共に日加共同訓練「KAEDEX 2018」を実施しました。

2020年5月10日には、第2次派遣情報収集活動水上部隊として中東方面に向けて佐世保基地から出港しました。新型コロナウイルスの影響で、出港後に日本近海で2週間の訓練を行い、感染者がいないことを確認してから中東に向かいました。現地到着後の同年6月9日には、護衛艦「たかなみ」から任務を引き継ぎ、情報収集活動を開始しました。同年10月6日には、3次隊の「むらさめ」に任務を引き継ぎ、同年10月26日に佐世保基地に帰港しました。

同年10月19日から20日にかけては、南シナ海において米海軍駆逐艦「ジョン・Ｓ・マケイン」、オーストラリア海軍フリゲート「アランタ」とともに日米豪共同訓練を実施しました。

2022年3月17日には、東シナ海において太平洋管区フランス軍フリゲート「ヴァンデミエール」と日仏共同訓練（オグリ・ヴェルニー）を実施しました。同年7月5日には、令和4年度インド太平洋方面派遣（IPD22）護衛艦部隊第2水上部隊として、搭載航空機1機とともに佐世保基地を出国しました。7月15日から19日には、パラオ共和国及びその周辺で実施されるパシフィック・パートナーシップ2022の一部に参加し、捜索救難訓練等を実施しました。また、7月20日から22日には、パラオ周辺海域でパラオ共和国海上保安局巡視船と親善訓練を実施しました。7月23日から24日には、米海軍沿海域戦闘艦「ジャクソン」、貨物弾薬補給艦「カール・ブラッシャー」と各種戦術訓練を実施しました。7月30日には、ミクロネシア周辺訓練海空域において、米海軍貨物弾薬補給艦「セサール・チャベス」と日米共同訓練を実施しました。

8月6日から8日には、ソロモン諸島ホニアラ港に寄港しました。8日には、「ガダルカナル島の戦い」から80年の慰霊式に出席していた乗組員1人が刃物で襲われる事件が発生しましたが、軽傷でした。同日、ソロモン諸島周辺海空域において、米海軍沿海域戦闘艦「オークランド」、ソロモン諸島海上警察巡視船と日米ソロモン親善訓練を実施しました。8月15日には、フィジー周辺海空域においてフィジー共和国海軍哨戒艇と日フィジー親善訓練を実施しました。8月20日及び22日には、トンガ王国ヌクアロファ周辺においてトンガ王国海軍哨戒艇と日トンガ親善訓練を実施しました。8月25日及び26日には、ニューカレドニア周辺海空域において、フランス領ニューカレドニア駐留フランス軍哨戒艦等と日仏共同訓練を実施しました。

8月30日から9月1日には、ニューカレドニア周辺海空域において日仏豪共同訓練（ラ・ペルーズ22）を実施しました。フランス領ニューカレドニア駐留フランス軍フリゲート、オーストラリア海軍フリゲートが参加し、戦術運動、対空戦等の各種戦術訓練を実施しました。9月12日から26日には、ダーウィン周辺海空域で実施される豪州海軍主催多国間共同訓練（KAKADU2022）に参加しました。10月4日から8日には、南シナ海において日米豪加共同訓練（ノーブル・ミスト22）を実施しました。10月11日から18日には、スールー海で実施された米豪比主催共同訓練（Exercise SAMASAMA/LUMBAS 2022）に参加しました。10月19日から21日には、南シナ海において米海軍沿海域戦闘艦「オークランド」と日米共同訓練を実施し、10月28日に佐世保に帰港しました。

2023年11月26日には、東シナ海において米海軍空母、駆逐艦、韓国海軍駆逐艦と日米韓共同訓練を実施しました。11月26日から30日には、東シナ海から沖縄南方海空域において日米共同訓練を実施しました。12月1日には、屋久島沖米軍オスプレイ墜落事故に伴い自主派遣され、捜索救難活動に従事しました。

2024年4月20日には、伊豆諸島・鳥島沖で発生した海上自衛隊ヘリコプター墜落事故の捜索活動に従事しました。本艦搭載機のSH-60K「8443」号機も事故に遭いました。6月16日には、南シナ海で実施された日米加比共同訓練に参加しました。現在、定係港は佐世保です。

歴代艦長

歴代艦長の情報は、現在詳細が不明です。

その他

過去に同名の旧海軍・海上自衛隊の艦船はなく、5番艦「いなづま」以降の護衛艦は、もがみ型「ゆうべつ」まで、すべて旧海軍由来もしくは護衛艦として先代がいる襲名の艦名となりました。そのため、本艦は2023年12月現在において、旧海軍に由来しない艦名がつけられた最後の護衛艦となっています。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

（脚注は省略）

参考文献

石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』（並木書房、2002年）
『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』（海人社、2004年）
『世界の艦船』第750号（海人社、2011年11月号）

外部リンク

海上自衛隊 「むらさめ」型護衛艦

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