け゜

「け゚」「ケ゚」は、日本語の音節 /ŋe̞/ を表記するために用いられる特殊な仮名文字です。これは、通常の「げ」「ゲ」の音（/ge/）が、鼻濁音の /ŋe̞/ として発音される場合に、その区別を明確にする目的で使用されます。

概要

この文字は、通常の日本語の文章ではほとんど見かけることはありません。主に、国語学の研究分野や、日本語の発音を教育する現場などで使用されます。具体的には、ある語の「げ」が鼻濁音で発音されることを明確に示したい場合に、「げ」の代わりに「け゚」が用いられます。しかし、この文字は五十音図には含まれておらず、小学校などの初等教育で教えられることもありません。

日本語の標準語や多くの方言では、[ŋ] の音は /g/ の異音として扱われ、/ŋ/ という独立した音素としては認識されていません。そのため、この文字が用いられる場面は限定的です。鼻濁音は、/g/ の音が、ある特定の条件下で鼻音化したものです（詳しくは、日本語の方言における濁音化と鼻音化の項目を参照してください）。

「け゚」に関わる諸事項

文字コードにおいては、JIS規格であるJIS X 0213において、「け゚」という文字は、1文字として独立したコードが割り当てられています。しかし、国際的な文字コード規格であるUnicode 3.2以降では、「け゚」は、仮名の「け」と半濁点を組み合わせたものとして表現されるようになりました。これは、Unicodeが、既存の文字の組み合わせで表現できる文字を、新たな独立した文字として登録することを避けるためです。

関連語

け
げ

このように、「け゚」は特殊な文字であり、一般的な日本語の文章では見られないかもしれませんが、日本語の発音や音声に関する研究において重要な役割を果たしています。

もう一度検索