さざなみ (列車)

特急「さざなみ」：東京湾を望む房総特急の歴史と現在

概要

特急「さざなみ」は、東日本旅客鉄道（JR東日本）が東京駅と木更津駅・君津駅間を、京葉線と内房線を経由して運行する特急列車です。1972年に運転を開始し、当初は新宿駅や東京駅から館山駅・千倉駅までを結んでいました。房総半島への観光輸送を担っていましたが、1991年からは京葉線経由となり、2015年からは通勤輸送に特化したダイヤへと変更されました。現在では、平日の朝夕を中心に運行されています。

歴史

1972年～1990年代

特急「さざなみ」は、1972年7月15日に運転を開始しました。当初は新宿駅・東京駅と館山駅・千倉駅を結び、中央本線、総武本線、外房線、内房線を経由していました。同年10月にはエル特急に指定され、房総方面への特急列車として「わかしお」と共に運行を開始しました。1982年には房総地区の急行列車が全廃され、「さざなみ」が増発されました。1991年には「成田エクスプレス」の運転開始に伴い、東京駅～蘇我駅間が京葉線経由に変更されました。

2000年代

2005年12月10日には、「ビューさざなみ」「ホームタウンさざなみ」「おはようさざなみ」などの愛称が「さざなみ」に統一されました。2015年のダイヤ改正では、定期運行区間が東京駅～君津駅間に短縮され、平日朝上りと夕方下りのみの運行となり、通勤輸送に特化したダイヤとなりました。

2020年代

2023年3月には高崎線の特急が全席指定席化されたため、首都圏のJR特急で数少なくなった自由席を設定している列車でしたが、2024年3月のダイヤ改正で全席指定席となりました。

列車名の由来

「さざなみ」という名前は、沿線である東京湾内湾の小さく立つ波「漣」「小波」「細波」に由来しています。1959年の夏季臨時列車では「さざ波」のテールマークを掲出して運転したこともありました。

運行概況

現在の「さざなみ」は、基本的に東京駅～君津駅間で平日のみ運行されています。上り3本、下り4本で、上り4号のみ木更津駅始発です。朝に上り、夕方から夜にかけて下りが運転される、ホームライナー的な性格が強い列車です。下り列車の東京駅の発車時刻は毎時30分となっています。

菜の花が見頃の時期や駅からハイキング実施時などには、千倉駅まで延長運転されることがあります。2013年には中央本線高尾駅まで延長運転されたこともありました。

停車駅

東京駅 - 蘇我駅 - 五井駅 - 姉ケ崎駅 - 木更津駅 - 君津駅

臨時列車では、海浜幕張駅に停車することもあります。

使用車両

「さざなみ」には、幕張車両センター所属のE257系500番台5両編成が使用されています。2024年3月16日のダイヤ改正より、全車両が指定席となりました。

過去の使用車両

255系: 1993年7月2日から2005年12月10日まで「ビューさざなみ」として運用されていました。2023年時点では上り1本のみで使用されていましたが、2024年3月16日のダイヤ改正でE257系に置き換えられました。
183系: 1972年の設定時から2004年にE257系に置き換えられるまで運用されていました。

臨時列車「新宿さざなみ」

土休日には、新宿駅～館山駅間で特急「新宿さざなみ」が1～2往復運転されます。繁忙期には増発されることもあります。使用車両はE257系5両編成が基本ですが、繁忙期には10両編成になったり、5000番台や255系が使用されることもあります。

停車駅

新宿駅 - 錦糸町駅 - 船橋駅 - 千葉駅 - 蘇我駅 - 五井駅 - 木更津駅 - 君津駅 - 浜金谷駅 - 保田駅 - 岩井駅 - 富浦駅 - 館山駅

かつては秋葉原駅や津田沼駅にも停車していました。

過去の臨時列車

「ビーチインBOSOさざなみ」: 夏に運行されていた、蘇我駅～浜金谷駅間無停車の列車です。

利用状況

2015年3月14日のダイヤ改正で、定期列車は東京駅～君津駅間に短縮され、平日のみの運行となりました。このため、君津駅～館山駅間の特急列車は臨時「新宿さざなみ」のみとなっています。沿線自治体からは、特急の復活や特別快速の増発を求める要望が出ていますが、JR東日本は利用状況を踏まえ、関係各所と協議を続けるとしています。

内房線優等列車沿革

内房線（旧房総西線）に有料の優等列車が初めて設定されたのは1958年ですが、戦前の1935年～1940年には、臨時快速に「漣」（さざなみ）などの列車名が付けられていました。

戦後～特急「さざなみ」誕生まで

1950年代には、臨時快速「汐風」「夕凪」「さざなみ」などが運行されていました。1958年には、総武本線の準急「犬吠」に、房総東線経由と房総西線経由の車両を併結した3層建て列車「房総」が登場しました。1960年代には、「京葉」「房総」「内房」「外房」などの列車が運行されました。1963年には、両[[国駅]]～館山駅間に準急「さざなみ」が新設されました。1966年には、準急が急行に格上げされ、「内房」となりました。1972年には、特急「さざなみ」が登場し、急行「内房」は廃止されました。

エル特急「さざなみ」設定後

1972年の総武本線東京駅乗り入れにより、特急「さざなみ」は東京駅発着となりました。1982年には、急行「内房」が廃止され、特急「さざなみ」が増発されました。1991年には、東京駅～蘇我駅間が京葉線経由となりました。2004年には、E257系が導入され、2005年には列車名が「さざなみ」に統一されました。

列車名の由来一覧

「青い海」：外洋を形容
「うちうみ」：内海を走行することから
「内房」「うち房」：房総半島の東京湾側を走行することから
「おはようさざなみ」：朝の通勤時間帯を走行する「さざなみ」であるから
「かもめ」：海鳥の「カモメ」から
「京葉」：東京と千葉県各地を結ぶことから
「汐風」：海から吹く塩気を含んだ風から
「しらすな」：日本の美しい海岸の形容「白砂青松」から
「白浜」：房総半島最南端の白浜町から
「なぎさ」：波打ち際を表す言葉の「渚」から
「ビーチインBOSOさざなみ」：海水浴客向けに途中大主要駅を通過する「さざなみ」であるから
「ビューさざなみ」：使用する255系の車両愛称が「Boso View Express」であるから
「富津[[岬]]」：富津市にある東京湾口の岬から
「房総」：房総半島各地へ向かう列車であるから
「ホームタウンさざなみ」：夕方の帰宅時間帯を走行する「さざなみ」であるから
「みさき」：房総半島には多くの「岬」があることから
「夕凪」：海辺の地域で、無風の状態（凪）のうち夕方に起こるものを指す
「つのぶえ」：マザー牧場への観光用列車。

脚注

注釈:


出典:


参考文献:

『JR特急10年の歩み』弘済出版社、1997年5月15日。ISBN 4-330-45697-4。

関連項目

特急田中3号（TBS制作のテレビドラマ）
京葉線
内房線
房総料金回数券
東京湾アクアライン
館山自動車道
富津館山道路

外部リンク

わかしお／さざなみ／しおさい（E257系）：JR東日本

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