たけくらべ (宝塚歌劇)

宝塚歌劇版『たけくらべ』の歴史

宝塚歌劇団が樋口一葉の小説『たけくらべ』を原作として制作した舞台作品は、雪組を中心に複数回にわたり上演されてきました。その歴史は、戦時中の1943年から始まり、時代ごとに様々な演出や配役が試みられ、観客を魅了してきました。

初演：1943年雪組

脚本：内海重典によって1943年7月27日から8月24日まで宝塚大劇場で初演されました。併演は『戦ひはここにも』でした。その後、9月1日から9月28日には東京宝塚劇場でも上演され、この時の併演は『佐藤兄弟の妻』と『日の丸船隊』でした。

戦後の再演：1945年合同公演

1945年10月1日から27日にかけて、大阪の北野劇場で合同公演が行われました。脚本は内海重典が引き続き担当し、併演は『紅葉狩』と『菊仙境』でした。

1946年雪組公演

1946年2月21日から2月27日には、名古屋宝塚劇場で雪組公演が行われました。主なスタッフは内海重典で、併演は『三人片輪』と『ハッピードリーム』でした。

ミュージカル・プレイとしての再演：1973年雪組

1973年11月1日から12月2日にかけて、宝塚大劇場でミュージカル・プレイとして再演されました。この公演は10場構成で、併演は『ラブ・ラバー』でした。脚本・演出は柴田侑宏、作曲は入江薫と寺田瀧雄が担当しました。主な出演者は以下の通りです。

和尚：大路三千緒
和尚の妻：三鷹恵子
信如：汀夏子
大巻：高宮沙千
美登利：摩耶明美
三五郎：岸香織
六之助：浦路夏子
正太：順みつき
佐吉：尚すみれ
源七：上條あきら
長吉：麻実れい

また、この公演では新人公演も行われ、麻実れい、瑞穂まり、尚すみれ、玉梓真紀、上條あきらが出演しました。

バウ・ロマンとしての再演：1994年

1994年には、バウ・ロマンとして月組と花組によって再演されました。月組は2月26日から3月12日まで宝塚バウホールで、花組は5月29日から6月6日まで東京・日本青年館、6月8日から6月10日まで名古屋・愛知厚生年金会館で上演されました。

この時のスタッフは以下の通りです。

作・演出：柴田侑宏
振付・演出協力：花若春秋
作曲・編曲：寺田瀧雄、吉田優子
装置：大橋泰弘
衣装：中川菊枝
照明：今井直次
演出補：谷正純
演出助手：木村信司、藤井大介
装置補：新宮有紀
衣装補：田口美香
音楽製作：野村修
製作：細川勝幸
制作：佐分孝

まとめ

宝塚歌劇版『たけくらべ』は、時代を超えて愛される作品であり、その変遷は宝塚歌劇の歴史を映し出す鏡とも言えるでしょう。それぞれの公演で異なる演出や配役、音楽が楽しめます。特に1973年版はミュージカル・プレイとして、1994年版はバウ・ロマンとして再構成されており、宝塚歌劇の多様な表現を堪能できる作品と言えるでしょう。

参考文献

橋本雅夫編集発行人『宝塚歌劇の60年別冊・年譜　最近の10年』宝塚歌劇団、1974年。
森照実・春馬誉貴子・相井美由紀・山本久美子編集『宝塚歌劇90年史　すみれの花歳月を重ねて』宝塚歌劇団、2004年。ISBN 4-484-04601-6。

もう一度検索