なみだの季節 (アルバム)

キャンディーズ『なみだの季節』

『なみだの季節』は、日本の人気アイドルグループ、キャンディーズが1974年12月10日に発表した通算3枚目となるオリジナル・アルバムです。LP盤として発売された際の帯には、「キャンディーズと一緒に歌おう ヒット・オリジナル&フーテナニー曲集」というキャッチコピーが記されており、本作がキャンディーズのオリジナル楽曲と、当時流行していたヒット曲やフォークソング（フーテナニー）のカバーで構成されていることを示唆しています。

アルバムの収録曲は、A面が全6曲、B面が全6曲の計12曲。A面のうち5曲がキャンディーズのオリジナル新曲で構成され、残りの1曲とB面全てはカバー楽曲となっています。このように、オリジナルのシングル曲やB面曲、そして幅広いジャンルからのカバー曲をバランス良く配置することで、当時のキャンディーズの活動、特にライブやステージでのパフォーマンスを彷彿とさせる内容に仕上がっています。

カバー曲の中には、当時のキャンディーズのステージにおいて重要な役割を果たしていた楽曲が複数収録されています。例えば、B面に収められた「風」や「帰らざる日のために」は、その時代のコンサートで頻繁に披露されており、ファンにとっては馴染み深いナンバーでした。また、「アイ・ビリーブ・イン・ミュージック」は、ステージのエンディングを飾る感動的な楽曲として用いられていました。これらの楽曲がアルバムに収録されたことで、当時のライブの雰囲気をリスナーに伝える役割も担っていたと言えるでしょう。

さらに、本作の特色として、特定の楽曲における外部ミュージシャンとの共演が挙げられます。「コットン・フィールズ」と「グリーン・グリーン」の2曲では、日本大学理工系アメリカ民謡研究会のメンバーが演奏に参加しており、フォークソングのテイストをより一層引き立てる、本格的なアンサンブルが実現しています。

アルバム全曲の編曲は、一部の楽曲を除き、キャンディーズの多くのヒット曲を手がけた穂口雄右氏が担当しています。穂口氏によるアレンジは、オリジナルのポップスナンバーに加えて、様々なジャンルのカバー曲にも統一感とキャンディーズらしさをもたらしています。

オリジナル盤収録曲

全編曲：穂口雄右（特記以外）

1. なみだの季節
作詞：千家和也、作曲：穂口雄右。
キャンディーズにとって4枚目のシングルとして発表された楽曲です。

2. 真っ赤な木の実
作詞：千家和也、作曲：穂口雄右。

3. シュガー・ベイビー・ラヴ (SUGAR BABY LOVE)
作詞・作曲：Wayne Bickerton・Tony Waddington、訳詞：山上路夫。
イギリスのバンド、ルベッツ（The Rubettes）のヒット曲のカバーです。

4. あのひとあまのじゃく
作詞：千家和也、作曲：穂口雄右。

5. 迷える羊
作詞：千家和也、作曲：穂口雄右。
4枚目のシングル「なみだの季節」のB面曲として発表されました。

6. ガラスの少女
作詞：千家和也、作曲：穂口雄右。

7. 風
作詞：北山修、作曲：端田宣彦。
はしだのりひことシューベルツの楽曲のカバーです。

8. 想い出のグリーン・グラス (GREEN, GREEN GRASS OF HOME)
作詞・作曲：Claude "Curly" Putman Jr.、訳詞：山上路夫。
ポーター・ワゴンナーなどが歌唱したカントリーソングのカバーです。

9. コットン・フィールズ (COTTON FIELDS)
作詞・作曲：Huddei Ledbetter。
レッドベリー、ハイウェイメン、ザ・ビーチ・ボーイズなど、多くのアーティストにカバーされたフォークソング／ブルースの古典。編曲者名の記載はありません。

10. グリーン・グリーン (GREEN, GREEN)
作詞：Randy Sparks、作曲：Barry McGuire。
ザ・ニュー・クリスティ・ミンストレルズの楽曲のカバー。編曲者名の記載はありません。

11. 帰らざる日のために
作詞：山川啓介、作曲：いずみたく。
いずみたくシンガーズが歌唱し、テレビドラマ『われら青春!』の主題歌として知られる楽曲のカバーです。

12. アイ・ビリーブ・イン・ミュージック (I BELIEVE IN MUSIC)
作詞・作曲：Mac Davis、訳詞：沢田研二。
マック・デイヴィスの楽曲のカバーです。

キャンディーズ・タイムカプセル盤 ボーナス・トラック

2008年9月3日に発売されたCD-BOX『キャンディーズ・タイムカプセル』に収録された紙ジャケット仕様の本作には、オリジナル盤の12曲に加え、以下のボーナス・トラックが追加収録されました。

13. なみだの季節（シングル・ミックス・ヴァージョン）
オリジナル・シングル盤に収録された音源です。アルバム・バージョンと比較すると、イントロ部分のSEのパターンが異なっているのが特徴です。

14. なみだの季節（オリジナル・カラオケ／純カラオケ）
楽曲のインストゥルメンタル・バージョンです。

このアルバムは、キャンディーズがアイドルとしての魅力に加え、幅広い音楽ジャンルへの挑戦と、ライブでの表現力を高めていた時期の記録として、今日でも多くのファンに愛されています。

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