にんげんこわい

にんげんこわい

WOWOWプライムで放送された「にんげんこわい」は、古典落語を現代的な視点で再構築した異色のドラマシリーズです。落語の持つ、単なる滑稽さとは異なる、人間の心の奥底に潜む怖さや業を浮き彫りにしています。

概要

一見すると笑いを誘う落語ですが、その中には、人間のエゴや欲望、嫉妬、そして哀しみといった、様々な感情が複雑に絡み合った怖い話も多く存在します。「にんげんこわい」は、そうした古典落語の演目を基に、現代ドラマとしての新たな解釈を加え、全5話（第1弾）と全6話（第2弾）のオムニバス形式で展開されました。

第1弾では、「心眼」、「辰巳の辻占」、「紺屋高尾」、「宮戸川」といった演目をドラマ化。続く第2弾「にんげんこわい2」では、「紙入れ」、「品川心中」、「鰍沢」、「権助提灯」、「笠碁」が取り上げられました。

各エピソードは、原作の持つエッセンスを活かしつつ、現代的な設定や演出を巧みに取り入れることで、落語ファンだけでなく、幅広い層の視聴者を引き込むことに成功しています。

全話を通して語りを担当するのは、人気落語家の柳家喬太郎。彼の独特な語り口が、各エピソードの雰囲気を高め、物語の世界観をより一層深めています。

各話詳細

にんげんこわい

第1話 心眼
盲目の按摩・梅喜が見えるようになったことで、夫婦の間に生じる感情の歪みを描きます。黒木華が、複雑な感情を抱える妻・お竹を演じます。

第2話 辰巳の辻占
女郎にのぼせ上がった男が、友人に唆され、女の本心を確かめようとする顛末を描きます。山本美月演じるお玉と、岡山天音演じる伊之助の、危うい駆け引きが見どころです。

第3話 紺屋高尾
花魁に一目惚れした染物職人が、3年かけて大金を貯め、ようやく高尾太夫に会うことができたものの、再び会うためにはまた3年必要だと告げたことから物語が展開します。永山絢斗と瀧内公美が、純粋な想いと打算の間で揺れ動く男女を演じます。

第4話・最終話 宮戸川（上・下）
過去の出来事がきっかけで、友人の行方を探すことになった男の物語。奈緒と若葉竜也が、過去に囚われた男女を演じます。

にんげんこわい2

第1話 紙入れ
小間物屋の新吉が、得意先のおかみさんと関係を持ってしまう物語。吉田羊が妖艶な、おかみさんを演じます。

第2話・第3話 品川心中（上・下）
遊女がお金のために心中を持ちかける物語。吉岡里帆と井之脇海が演じる男女の、予想外の結末に注目です。

第4話 鰍沢
山奥で出会った女に、過去を暴かれてしまう旅人の物語。岡田将生が、過去を背負う旅人を演じます。

第5話 権助提灯
若旦那に振り回される飯炊きの権助の物語。安田顕が、コミカルかつ哀愁漂う権助を演じます。

最終話 笠碁
些細なことで喧嘩別れした隠居同士の物語。松重豊と伊東四朗が、熟練の演技で隠居を演じます。

スタッフ

監督：賀内健太郎、山田由梨、舘そらみ、松岡芳佳
脚本：首藤凜、山田由梨、ぺヤンヌマキ、舘そらみ
語り：柳家喬太郎

「にんげんこわい」シリーズは、古典落語という伝統芸能を、現代ドラマとして見事に蘇らせた作品と言えるでしょう。人間の普遍的な感情や業を描き出すことで、時代を超えて人々の心に響く作品となっています。

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