ひまわりフェスティバル (野木町)

栃木県野木町のひまわりフェスティバル：30万本のひまわりが織りなす夏の絶景

はじまりと町の取り組み

栃木県下都賀郡野木町。そのシンボルは、夏の太陽を思わせる鮮やかなひまわりです。野木地区のひまわり畑は、美しい田園風景として広く知られ、2011年には「とちぎのふるさと田園風景百選」にも選ばれています。しかし、このひまわり畑が誕生するまでには、町の活性化をかけた地道な努力がありました。

野木町は、米、麦、野菜、果樹など様々な農産物の生産が可能な土地柄でしたが、特産品と言えるものがありませんでした。そこで町は、1977年に町の花に選定されたひまわりに着目。1989年、野木町農業協同組合（現・小山農業協同組合）を主体に、試験栽培が開始されました。この取り組みは、転作農地の有効活用と、ひまわり畑を観光資源として活用することを目的としていました。同時に、ベッドタウン化が進む町で、ひまわりを通して新旧住民の交流を深め、地域への愛着を育むことも期待されていました。

試験栽培は、収穫時期の遅れによりカワラヒワによる食害を受け、種子の8割を失う結果となりましたが、それでも採算が取れるだけの収穫が見込めることが判明。1990年には栽培面積を大幅に拡大し、町内各地で50万本のひまわりが栽培されました。この成功が、ひまわりフェスティバルの開催へと繋がります。

その後も、カワラヒワの食害や、ドバト、キジバトによる食害など、幾多の困難を乗り越えながら、ひまわり栽培は拡大を続けました。町を挙げての取り組みは、1991年には東京駅へのひまわりの輸送、東日本旅客鉄道による観光ツアーの企画など、町のPRにも繋がっていきました。

ひまわりフェスティバルの歴史

1992年、野木町で初めてのひまわりイベントとして「ひまわりフェスティバル」が開催されました。当時、各地でひまわりを使ったイベントが流行し始めていた時代背景も、開催を後押ししました。

第1回は、野木第二中学校南側の4haのひまわり畑を会場に、ひまわり迷路、ミニSL、農産物直売所、屋台などが設置されました。野木駅から会場までは3km離れているため、シャトルバスも運行されました。多くの家族連れが訪れ、大盛況のうちに幕を閉じました。

回を重ねるごとにイベントは規模を拡大し、様々な催しが企画されました。歌手や音楽隊の公演、ヘリコプター遊覧飛行、花火大会など、来場者を楽しませる工夫が凝らされました。しかし、冷夏や水不足による生育不良、そしてカワラヒワの食害など、自然の厳しさにも直面しました。

1990年代後半には、ハトによる食害への対策として、空砲を用いた駆除を行うなど、ひまわりを守るための様々な対策が講じられました。

2000年代以降も、イベントは継続的に開催され、記念イベントや新たな企画も導入され、町民参加型のイベントへと進化を遂げました。2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で規模を縮小しましたが、2022年には3年ぶりに本格開催となりました。

イベントの内容

ひまわりフェスティバルは、野木町ひまわりフェスティバル実行委員会が中心となり、町民の協働によって運営されています。入場料は無料です。

4.3haの広大な会場には、約30万本のひまわりが咲き誇ります。ひまわり畑の中央には、迷路が作られ、見晴らし台も設置され、見晴らし台からは壮大なひまわり畑と空を眺めることができます。

ステージイベントでは、キャラクターショーやライブ、野木町出身の歌手によるパフォーマンスなど、様々な催し物が開催されます。また、模擬店やアトラクションも充実しており、家族連れでも一日中楽しめます。

野木町は、上三川町、益子町と「ひまわりサミット」を結成し、ひまわりの開花時期を調整するなど、連携を深めています。

アクセス

公共交通機関：JR東北本線（宇都宮線）野木駅から徒歩約30分。フェスティバル期間中は無料シャトルバスが運行されます。
自動車：会場近くに約1,000台分の駐車場あり（一部有料）。東北自動車道佐野藤岡IC、加須ICからそれぞれ約30分～40分。小山市街からは約15分。

まとめ

野木町のひまわりフェスティバルは、町の活性化を目的とした地道な努力と、多くの人の協働によって育まれた、夏の風物詩です。約30万本のひまわりが織りなす圧巻の景色は、訪れる人々に忘れられない思い出をプレゼントしてくれるでしょう。ぜひ、一度足を運んでみてください。

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