みどり (列車)

特急「みどり」：九州を繋ぐ特急列車の歴史と現在

概要

特急「みどり」は、九州旅客鉄道（JR九州）が博多駅と佐世保駅の間を、鹿児島本線、長崎本線、佐世保線を経由して運行する特急列車です。本記事では、「みどり」の歴史、運行形態、使用車両、停車駅、料金、関連する列車などについて詳しく解説します。

「みどり」は、1976年に長崎本線と佐世保線の電化開業に伴い、急行「弓張」を特急化したことで誕生しました。当初は博多駅と佐世保駅を結ぶ特急として運行を開始し、その後、「かもめ」との併結運転や、リレーかもめとしての運行など、様々な変遷を辿っています。また、多客期には臨時特急「有田陶器市みどり」や「九十九島みどり」も運行され、地域の観光輸送にも貢献しています。

歴史

1976年：特急「みどり」誕生

1976年 7月1日、長崎本線と佐世保線の電化開業に伴い、急行「弓張」の一部を特急化する形で「みどり」が運行を開始しました。当初は6往復で、長崎駅発着の特急「かもめ」と博多駅 - 肥前山口駅間で併結運転を行っていました。この際、佐世保線内の輸送需要の関係で、4両という短編成で運行されていました。

1980年代：「弓張」の格上げと「かもめ」との連結解消

1980年と1982年のダイヤ改正で、「弓張」は全て「みどり」に格上げされ、博多駅発着に統一されました。1986年には「かもめ」との連結運転が解消され、博多駅と長崎方面を結ぶ特急列車は「かもめ」と「みどり」が1時間あたり1本ずつ運転されるようになりました。その後、1988年には一部で「かもめ」との併結運転が復活しています。

2000年代：783系への置き換えと「九十九島」運動

2000年のダイヤ改正では、485系が引退し、専用編成としてリニューアルを受けた783系に置き換えられました。2011年には、「かもめ」との併結運転が完全に廃止され、長崎本線の特急列車は「かもめ」が1 - 2本、「みどり」が1本という体制になりました。

2001年には佐世保市で列車名を「九十九島」に改称する運動が起こりましたが、実現には至りませんでした。しかし、2013年には臨時列車として「九十九島みどり」が運行開始し、現在では「有田陶器市みどり」以外の臨時列車は全て「九十九島みどり」として運行されています。

2022年：西九州新幹線開業と「みどり（リレーかもめ）」

2022年 9月23日のダイヤ改正では、西九州新幹線が開業し、一部の「みどり」が武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と対面接続を行うことになり、該当する列車は「みどり（リレーかもめ）」として運行されています。

運行概況

定期列車は全て博多駅 - 佐世保駅間の運行で、16往復が設定されています。このうち、下り4本、上り6本は武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と接続する「みどり（リレーかもめ）」として運行され、行き先は「佐世保（長崎）行き」と案内されます。

一部の列車は博多駅 - 早岐駅間で特急「ハウステンボス」を併結します。また、「みどり（リレーかもめ）」と併結する「ハウステンボス」は「ハウステンボス（リレーかもめ）」の列車名で運行されます。

臨時列車は、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などのピーク期に設定されます。有田陶器市期間中には「有田陶器市みどり」、それ以外には「九十九島みどり」として運行されます。

2022年9月改正以降、号数は博多駅を発着する順に「リレーかもめ」と通しで付けられるようになりました。そのため、「みどり」の号数には欠番が生じています。

停車駅

博多駅 - （二日市駅）- 鳥栖駅 - 新[[鳥栖駅]] - （吉野ケ里公園駅）- 佐賀駅 - 江北駅 - 武雄温泉駅 - 有田駅 - 早岐駅 - 佐世保駅

- 二日市駅は2・67号のみ通過します。
- 吉野ケ里公園駅は15・40号のみ停車します。
- 2・43・47・48・51・52・55・56・60号は武雄温泉駅で西九州新幹線「かもめ」と対面接続します。

その他、臨時停車する駅として以下の駅があります。

- 神埼駅
- バルーンさが駅
- 上[[有田駅]]

料金不要の特例

2018年 3月17日のダイヤ改正以降、早岐駅 - 佐世保駅間は制度上、普通列車としての運転となっています。そのため、この区間の特急券は不要です。

使用車両・編成

「みどり」には、南福岡車両区に所属する783系電車と885系電車が使用されています。

783系電車

2000年3月から運用されており、現在11往復に充当されています。基本的には4両編成で運行されますが、朝・夕方以降は「ハウステンボス」用4両編成を増結して8両編成で運行される列車もあります。

885系電車

2022年 9月23日から、併結のない単独運行の5往復で運用されています。

かつて運行されていた車両

1976年から2000年までは485系電車が、2011年3月12日から2022年 9月22日までは787系電車が使用されていました。

京阪神対九州間特急「みどり」の沿革

かつては、京阪神と九州を結ぶ特急列車としても「みどり」は活躍していました。1961年から1975年まで、大阪駅や新大阪駅を発着し、博多、熊本、大分、佐世保、宮崎を結ぶ特急として運行されていました。しかし、山陽新幹線の開業に伴い、廃止されました。

佐世保線 優等列車沿革

特急「みどり」の前身となる佐世保線の優等列車についても、詳しく解説します。戦後、準急列車や急行列車が運行され、その中で「弓張」が1976年に特急「みどり」として生まれ変わりました。

列車名の由来

- 有田陶器市号：佐賀県有田町の有田陶器市に由来。
- いそかぜ：「磯の風」を意味し、列車の終着駅である佐世保駅および宮崎駅の海岸線沿いを走ることに由来。
- オランダ村特急：長崎オランダ村を目的地としていることに由来。
- かもめ：海鳥のカモメに由来。
- からつ：経由地の唐津市に由来。
- 九重：経由地の九重連山に由来。
- 九十九島：佐世保市の九十九島に由来。
- 出島：長崎市の出島に由来。
- ながさき：長崎市および長崎本線に由来。
- 西九州：長崎県と佐賀県を指す広域地域名に由来。
- ハウステンボス：佐世保市のハウステンボスに由来。
- ふたば：広島市の二葉山に由来。
- べっぷ：別府市に由来。
- 弓張：佐世保市の弓張岳に由来。

脚注

注釈

特になし

出典