アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー

概要

「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」（I'm in Love with My Car）は、イギリスのロックバンド、クイーンの楽曲です。この曲は、ドラマーのロジャー・テイラーによって作詞作曲され、1975年にリリースされたアルバム『オペラ座の夜』に収録されました。

ロジャー・テイラーは、まずギターの弾き語りによるデモ音源を制作し、その後、バンドメンバーと共にレコーディングを行いました。特筆すべきは、この楽曲において、ロジャーがドラムスだけでなく、リードボーカルとエレクトリックギターも担当している点です。彼の多才さが発揮された一曲と言えるでしょう。

歌詞の内容は、クイーンのローディーであったジョナサン・ハリスが、自身の愛車であるトライアンフ・TRをまるで恋人のように大切にしていたエピソードに触発されたものです。そのため、この曲はジョナサン・ハリスに捧げられた楽曲であり、アルバムのライナーノーツには「生涯ボーイレーサーであるジョナサン・ハリスに捧ぐ」という献辞が記されています。ジョナサンの車への愛情が、楽曲制作のインスピレーションになったことが伺えます。

アルバム発売後、この曲は同じく『オペラ座の夜』に収録されている大ヒット曲「ボヘミアン・ラプソディ」のB面曲としてシングルカットされました。しかし、この曲をシングルに収録することに、当初フレディ・マーキュリーは難色を示していたようです。最終的にフレディが承認するまでの間、ロジャーは食器棚に閉じこもっていたという逸話が残っています。このエピソードからも、ロジャーのこの曲に対する並々ならぬ思い入れが感じられます。

また、2004年には、イギリスの高級車ブランドであるジャガーのCMソングに起用され、幅広い層に楽曲が知られるきっかけとなりました。

2018年に公開されたクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、この曲自体は使用されませんでしたが、映画の中で、ブライアン・メイやジョン・ディーコンがロジャー・テイラーをからかうシーンで、歌詞の一部が引用されています。さらに、映画内ではEMIの重役が、「ボヘミアン・ラプソディ」の代わりに、この曲をアルバムからの最初のシングルとしてリリースすることを提案しましたが、バンドメンバーによって拒否されるという場面も描かれています。

ライブ演奏

「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」は、1977年から1981年にかけて行われたクイーンのライブで頻繁に演奏されていました。ライブでのパフォーマンスにおいては、ロジャーがドラムを演奏しながらリードボーカルを担当し、フレディ・マーキュリーはピアノとコーラスでサポートしていました。

特に1977年から1978年に開催された「News of the World Tour」では、フレディがロジャーのコーラスラインを歌う場面も見られました。この曲のライブパフォーマンスは、ファンにとって非常に印象的なものでした。

近年では、アダム・ランバートをボーカルに迎えて以降のライブでも、この曲は毎回のように演奏されており、新たなファンにも広く親しまれています。この曲は、クイーンのライブにおける定番曲としての地位を確立しています。

プレイヤー

この楽曲の演奏には、以下のメンバーが参加しています。

ロジャー・テイラー：リードボーカル、バッキングボーカル、ドラムス、リズムギター
フレディ・マーキュリー：ピアノ、バッキングボーカル
ブライアン・メイ：リードギター、バッキングボーカル
ジョン・ディーコン：ベースギター

これらのメンバーの卓越した演奏が、この曲の魅力を一層引き立てています。

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