アウグストゥス神殿 (プーラ)

プーラのアウグストゥス神殿：古代ローマの息吹を今に伝える

クロアチア北西部のイストリア半島先端に位置するプーラには、古代ローマ時代の面影を色濃く残すアウグストゥス神殿が佇んでいます。この神殿は、ローマ神と初代皇帝アウグストゥスを讃えるために、紀元前2年から紀元14年の間に建設されたと考えられています。

歴史的背景

アウグストゥス神殿は、古代ローマ時代のポーラ（現在のプーラ）の中心であったフォルム（現在のフォルム広場）に面して建てられました。このフォルムは、紀元前1世紀に街の行政の中心施設として整備され、神殿の他にも、ユーピテル、ユーノー、ミネルウァ神殿などが存在していました。

神殿は、大きな内陣（セラ）と、フォルムに面した正面に4本のコリント式の円柱を持つポルチコから構成されています。ローマ帝国初期の典型的な建築様式であり、後期ギリシア文明の影響も見られます。その荘厳な佇まいは、当時のローマ帝国の権威と繁栄を象徴しています。

神殿の変遷

ローマ帝国末期にキリスト教が国教化されると、アウグストゥス神殿は教会へと転換されました。その後、穀物貯蔵庫として使用された時期を経て、19世紀には石像や石碑などを展示する施設として活用されるようになりました。第二次世界大戦中の1944年には爆撃により崩壊しましたが、1945年から1947年にかけて再建され、古代の石像や石碑、ブロンズ像を展示する施設として、現在に至っています。

碑文

神殿正面のアーキトレーブには、以下の碑文が刻まれています。


ROMAE ET AVGUSTO CAESARI DIVI FILIO PATRI PATRIAE


この碑文は、「ローマと、祖国の父であるカエサルの息子アウグストゥス」と訳すことができ、神殿がローマと初代皇帝アウグストゥスを称えるために建てられたことを示しています。

アクセス

プーラのアウグストゥス神殿へのアクセスは比較的容易です。

プーラ長距離バスターミナルから徒歩で西南西へ約1200m
プーラ駅から徒歩で南南西へ約1200m
* 市街地中心のセルギウスの凱旋門付近から徒歩で西北西へ約400m

これらのアクセスポイントから、徒歩圏内で神殿へ到着することができます。

まとめ

プーラのアウグストゥス神殿は、古代ローマ帝国の栄華を今に伝える貴重な遺産です。その美しい建築様式、歴史的な変遷、そして神殿に刻まれた碑文は、訪れる人々に深い感動を与えます。プーラを訪れる際には、ぜひこの神殿を訪れて、古代ローマの息吹を感じてみてください。

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