アウディ・A4

アウディA4：進化の歴史をたどる

アウディA4は、アウディ社が製造・販売するDセグメントに属するセダンおよびステーションワゴン型の乗用車です。1994年の初代モデル登場以来、数々の改良とモデルチェンジを重ね、世界中で高い人気を誇ってきました。2024年、アウディは車名命名規則を変更。偶数型番を電動モデル、奇数型番を内燃機関搭載モデルに割り当てることになり、A4はA5へと名称変更されました。本稿では、A4の歴史を各世代に分け、詳細に解説します。

初代（1994年 - 2001年）B5系

アウディ80の後継として登場した初代A4（B5系）は、フォルクスワーゲン・パサートとプラットフォームを共有。縦置きエンジン、前輪駆動を基本とし、クワトロ四輪駆動システムもオプションで提供されました。当初はセダンのみでしたが、1995年にはステーションワゴンのアバントが追加されました。エンジンラインナップは1.6Lから2.8Lまでと幅広く、ヨーロッパ市場ではVWの新技術であるpumpe-düseシステムを採用したディーゼルエンジンも展開されました。また、当時人気だったイギリスツーリングカー選手権への参戦を背景に、アウディスポーツが開発した高性能な1.8Lターボエンジンも設定され、高い評価を得ました。トランスミッションには、ポルシェ開発のティプトロニックが採用され、スムーズなシフトチェンジを実現。安全面では、エアバッグが標準装備となりました。

2代目（2001年 - 2005年）B6系

2001年に登場した2代目A4（B6系）では、パサートとのプラットフォーム共有は解消され、独自開発のプラットフォームを採用。A6と共通のデザインコンセプトを採用し、サイズアップによる居住性の向上、アルミ製サスペンションの新設計など、様々な改良が加えられました。日本市場では、セダン、アバントに加え、カブリオレもラインナップされました。エンジンは、先代からのキャリーオーバーに加え、2.0L直4と3.0L V6エンジンが新たに追加。トランスミッションは5速MT、6速MT、5速ATに加え、FFモデルにはCVT（マルチトロニック）も設定されました。日本仕様はATとCVTのみの設定でした。

3代目（2005年 - 2008年）B7系

3代目A4（B7系）は、B6系のマイナーチェンジモデルともいえる存在です。ルーフ以外のパネルを一新、サスペンションはS4やA6からの移植など、大幅な改良が施されました。シングルフレームグリルを採用した新しいデザインは、アウディの新しいデザイン言語を象徴するものでした。エンジンには、2.0L直噴ターボ（TFSI）と3.2L直噴（FSI）エンジンが新設されました。トランスミッションは6速MT、6速AT、CVTが用意されましたが、日本市場ではMTは導入されませんでした。価格を抑えた「アトラクション」モデルも設定され、日本市場での販売拡大を目指しました。

4代目（2008年 - 2015年）B8系

2008年に登場した4代目A4（B8系）は、大幅な改良が加えられました。前輪を前方に配置することで前後重量配分を最適化し、アルミニウムの多用による軽量化も実現しました。Cd値0.27という優れた空力性能も特徴です。運転モードを選択できる「アウディドライブセレクト」や可変ギア比ステアリング「アウディダイナミックステアリング」も採用されました。アバントモデルは、490Lのトランク容量を実現。MMI（マルチメディアインターフェース）も標準装備されました。日本市場では、セダン、アバントに加え、クロスオーバーモデルのオールロードクワトロもラインナップされました。

5代目（2015年 - 2025年）B9系

5代目A4（B9系）は、「MLB evo」モジュラープラットフォームを採用し、予防安全システム「アウディプレセンス」など最新の技術を搭載。デザイン、品質、走行性能において大幅な進化を遂げました。全長、全幅、ホイールベースが拡大され、室内空間も広くなりました。クラス最高のCd値（セダン0.23、アバント0.26）を達成する高い空力性能を実現。また、軽量化も進められ、先代モデルに比べて最大120kgの軽量化を実現しました。安全装備も充実し、「トラフィックジャムアシスト」機能付きのアダプティブクルーズコントロールなどを搭載。MMIに加え、12.3インチのフルデジタルディスプレイ「アウディバーチャルコックピット」も採用されました。日本市場では、セダン、アバント、オールロードクワトロが販売され、様々な特別仕様車も設定されました。2024年、車名規則変更に伴い、内燃機関搭載モデルとしてのA4は最終世代となりました。

その他

中国市場では、4代目以降はロングホイールベースモデルのA4Lのみが販売されています。

アウディA4は、長年にわたり進化を続け、高い人気を維持してきたモデルです。その歴史は、アウディ社の技術革新と市場ニーズへの対応を如実に示しています。2024年以降はA5として新たな歴史を刻むことになるでしょう。

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