アシアー

アシアーの神話

アシアー（古希: Ἀσία, Asiā）は、ギリシャ神話に登場する女神で、長母音を省略してアシアとも称されます。彼女は海の神であるオーケアノスとその妻であるテーテュースの娘の一人とされており、オーケアニデス（海の女神たち）の一員です。アシアーの役割や関係性はいくつかの異なる神話的伝承により描かれています。

アシアーの家族と系譜

一説によると、アシアーはティーターンの一員、イーアペトスと結びつき、彼との間にアトラス、メノイティオス、プロメーテウス、そしてエピメーテウスをもうけています。プロメーテウスは人間に火を与えたことで知られ、その行動は神々との関係において重要な役割を持ちます。アシアーの家族の神々との絡みは、ギリシア神話の中で多くの物語を生み出しています。

一方で、詩人ヘーシオドスの作品『神統記』では、イーアペトスの正式な妻とされるのはアシアーではなく、同じくオーケアニデスの一人であるクリュメネーだとされています。このように、アシアーの家族に関する伝承は、文献によって異なる解釈がなされており、彼女の神格化や重要性についての多様性を示しています。

地名としてのアシアー

さらに興味深いことに、アシアーは一部の伝説においてプロメーテウスの配偶者ともされます。この説に従えば、アジアという地名の起源はアシアーに名を由来するということになります。アジアは、広い範囲の土地を指す名前ですが、このような神話の背景がその名前の由来として語り継がれているのです。

対照的に、リューディア人は「アジア」という名前がマネースの子であるコテュスとの間に生まれたアシアースに由来すると主張しています。これは、アシアーの名が地名とどのように結びついているかについての異なる見解を提供しています。また、サルディースに関しても、アシアーの氏族が関連づけられており、古代における文化的な交流や地域的な連関の重要性が窺えます。

参考文献

アシアーに関連する情報は、いくつかの古代文献によって提供されています。以下は、アシアーとその神話に関する文献の一部です。

• - アポロドーロス『ギリシア神話』 高津春繁訳（1953年、岩波文庫）
• - ヘシオドス『神統記』 廣川洋一訳（1984年、岩波文庫）
• - ヘロドトス『歴史（中）』 松平千秋訳（1972年、岩波文庫）
• - 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』（1960年、岩波書店）

このように、アシアーは多様な伝承を持つ女神であり、彼女の神話は現代でもさまざまな形で語られています。

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