アスコリ・ピチェーノ県

アスコリ・ピチェーノ県は、イタリア共和国マルケ州の最南端に位置する県です。県都はアスコリ・ピチェーノであり、東西に細長い県域は、東のアドリア海から西のアペニン山脈まで広がっています。この地理的な特徴から、海岸部の平野と山岳部の多様な景観が楽しめます。

地理

アスコリ・ピチェーノ県は、北にフェルモ県、南にアブルッツォ州のテーラモ県、西にラツィオ州のリエーティ県とウンブリア州のペルージャ県、北西にマチェラータ県と接しています。県の東部はアドリア海に面しており、海岸線は美しい砂浜と岩場が交互に現れます。一方、西部はアペニン山脈の一部であるシビッリーニ山地に覆われており、県最高峰のヴェットーレ山（標高2476m）はペルージャ県との境界に位置します。この山岳地帯はハイキングや登山に人気があり、豊かな自然を楽しむことができます。

県内を流れる主要な河川はトロント川で、サン・ベネデット・デル・トロント付近でアドリア海に注いでいます。この川は、農業用水や地域の生活用水として重要な役割を果たしています。

歴史

アスコリ・ピチェーノ県の歴史は古く、古代ローマ時代から重要な地域でした。2009年には、県の北部が新たにフェルモ県として分離し、現在の県域が確定しました。2016年には、イタリア中部を襲った大地震で大きな被害を受け、犠牲者を悼む国葬が営まれました。この地震からの復興は、現在も続けられています。

行政区画

アスコリ・ピチェーノ県には、33のコムーネ（市町村）が属しています。主要なコムーネとしては、アスコリ・ピチェーノ、サン・ベネデット・デル・トロント、モンテプルチャーノ、フォリニャーノなどがあります。これらのコムーネは、それぞれ独自の歴史や文化を持ち、地域の多様性を形作っています。各コムーネの人口は、2023年1月1日現在で確認できます。

スポーツ

アスコリ・ピチェーノ県は、サッカーが盛んな地域です。県内には、セリエB（2部リーグ）に所属するアスコリ・カルチョ1898 FCというプロサッカークラブがあり、地元住民から熱い支持を受けています。アスコリ・カルチョは、地域におけるスポーツ文化の中心的な存在です。

交通

アスコリ・ピチェーノ県は、主要な道路と鉄道が整備されており、県内外へのアクセスが容易です。

高速道路（アウトストラーダ）
アウトストラーダ A14：ボローニャからアンコーナ、チヴィタノーヴァ・マルケを経由し、サン・ベネデット・デル・トロントを通ってペスカーラ、バーリ、ターラントへと繋がっています。
RA11：アスコリ・ピチェーノとサン・ベネデット・デル・トロントを結ぶ連絡道路です。

国道
SS4：ローマからアスコリ・ピチェーノ、サン・ベネデット・デル・トロントへと続く道路で、歴史的な街道の一つです。
SS16：アドリア海沿岸を走る幹線道路で、パドヴァからアンコーナ、チヴィタノーヴァ・マルケを経由し、サン・ベネデット・デル・トロント、ペスカーラ、バーリ、オトラントへと繋がっています。

主要な鉄道
アドリアティカ線：アンコーナ、チヴィタノーヴァ・マルケからサン・ベネデット・デル・トロントを通って、ペスカーラ、テルモリ、バーリ、レッチェへと続く主要な鉄道路線です。
アスコリ・ピチェーノ＝サン・ベネデット・デル・トロント線：アスコリ・ピチェーノとサン・ベネデット・デル・トロントを結ぶローカル線です。

主要な港湾
* サン・ベネデット・デル・トロント港：アドリア海に面した重要な港湾で、漁業や観光に利用されています。

アスコリ・ピチェーノ県は、その豊かな歴史、美しい自然、そして多様な文化が調和した魅力的な地域です。観光客にとって、海岸と山々の風景を楽しむだけでなく、歴史的な街並みや美味しい地元の料理を味わうことができる場所です。

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