アステリアー

アステリアー: ギリシア神話における星の女神

アステリアー（Ἀστερία）は、古代ギリシャ神話において重要な役割を果たす女神であり、星々や夜空と深く結びついています。彼女の名前は「星座」や「星の女」を意味し、その存在は星々の象徴としての側面を持ちます。アステリアーは、ティーターン神族に属し、コイオスとポイベーを両親に持つ姉妹の一人で、妹にはまた別の神、レートーがいます。さらに彼女は、神秘的な力を持つ女神ヘカテーの母でもあるとされています。

彼女の物語は、ゼウスとの関わりを中心に展開します。ゼウスはアステリアーに恋をし、彼女を求めましたが、アステリアーはその一方的な愛に対抗し、逃れようとしました。彼女は自身の運命に気付いたとき、なんとか逃げ延びようとし、ついには姿を鶉に変えて海へと飛び込むことを選びました。この行動は、自らの自由を求める必死の決断であり、彼女の強い意志を象徴しています。

別の説では、アステリアーはゼウスによって鶉に変えられ、強制的に海に放り込まれたともあります。こうして海に入ったアステリアーからは新たな島が現れ、この島は後にオルテュギアー島、さらにはレートーがやってきてアポローンとアルテミスを産むことでデーロス島と名付けられました。この島の伝説は、アステリアーの存在と彼女の運命が、他の神々とも密接に絡み合っていることを示しています。

また、ローマの著名な学者キケロによれば、アステリアーはゼウスとともに複数のヘーラクレースを生んでおり、その中の一人が特にテュロスで崇められていたとされています。彼女の娘はカルターゴに関連付けられ、アステリアーの血脈は古代の神話に新たなエピソードをもたらしました。

アステリアーの物語は、彼女の運命や神々との関わりを通じて、自由への渇望や愛の葛藤を織り交ぜて描かれています。彼女は単なる神話上のキャラクターではなく、夜空に輝く星々のように、今も多くの人々に希望と夢を与え続ける存在です。

参考文献

• - アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫（1953年）
• - ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照夫訳、講談社学術文庫（2005年）
• - ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫（1984年）
• - 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店（1960年）

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