アスペン (コロラド州)

アスペン：銀鉱の町から高級リゾートへ

アスペンは、アメリカ合衆国コロラド州西部のロッキー山脈中に位置する都市で、ピトキン郡の郡庁所在地です。2020年の国勢調査では人口7,004人と小規模ながらも、その歴史と独特の魅力で知られています。アスペンの歴史は、19世紀後半の銀鉱山開発に始まり、その後、スキーリゾートとして生まれ変わるという劇的な変化を遂げてきました。現在では、高級ブティックが立ち並ぶ、富裕層や著名人に人気の高級リゾート地として知られています。

歴史：銀鉱の繁栄と衰退

1879年、ユート族の蜂起を避けて引き返した鉱夫たちが、この地にユート・シティという小さなコミュニティを創設しました。翌1880年には、周辺のヤマナラシの森にちなみ、アスペンと改称されました。1881年には正式に市制を施行し、1890年の銀購入法によって銀の産出が急増し、人口も増加しました。1891年から1892年にかけて、アスペンは全米最大の銀鉱生産地となり、銀行、病院、劇場、オペラハウスなどが建設され、活気に満ち溢れていました。

しかし、1893年の恐慌により、銀購入法が撤廃されると、アスペンの銀鉱山は次々と閉鎖に追い込まれ、街は急速に衰退しました。鉱夫たちは職を失い、人口は激減し、1930年には705人まで減少しました。

スキーリゾートとしての再生

銀鉱の町としての地位を失ったアスペンでしたが、古い建物や良質な雪が、新たな可能性を秘めていました。1930年代にはスキーリゾートとしての再生案が持ち上がり、第二次世界大戦後、1946年にアスペン・スキーイング・コーポレーションが設立されると、アスペンは再び脚光を浴び始めました。1950年にはFIS世界選手権が開催され、1949年にはアスペン音楽祭・学校が始まりました。その後、バターミルク・スキー場、アスペン・ハイランズ・スキー場、スノーマス・スキー場が整備され、アスペンは世界的なスキーリゾートとしての地位を確立しました。

1970年代以降、アスペンは高級リゾート地として成長し、グッチ、プラダ、フェンディといった高級ブランドのブティックが立ち並ぶようになりました。不動産価格は高騰し、平均価格は100万ドルを超えるほどになりました。しかし、その一方で、不動産価格の高騰によって、低所得・中所得層は市内に住むことが難しくなり、近隣の町からの通勤を余儀なくされるようになりました。

地理と気候

アスペンは、ロッキー山脈の山中に位置し、周囲をレッド・マウンテン、スマッグラー・マウンテン、アスペン・マウンテンに囲まれています。標高は約2,405mで、高山性の気候です。夏は涼しく、最高気温が25度を超えることはあるものの、夜間は冷え込みます。冬は氷点下になるのが常で、特に夜は平均でも氷点下10度を下回ります。降水量は年間を通じて多くありませんが、冬季には月間40〜70cm程度の降雪が見られます。

交通

アスペン・ピットキン郡空港が市の北西約5.5kmに位置しており、デンバーからの便が通年で運航しています。また、他の主要都市からの季節便も利用可能です。市内を通る主要な道路はコロラド州道82号線で、州間高速道路I-70にはグレンウッドスプリングスで接続しています。冬には、アスペン以東の道路が閉鎖されるため、デンバーからは約320km、車で約3時間半の道のりとなります。

市内の公共交通は、ロアリングフォーク交通局（RFTA）の運営する路線バスによって賄われており、アスペン市内や周辺地域をカバーしています。

人口推移と姉妹都市

アスペンの人口は、銀鉱の町として栄えた時代を経て減少しましたが、スキーリゾートとしての再生とともに回復しました。現在では、富裕層や著名人が多く居住しており、高級リゾート地としてのステータスを維持しています。アスペンは、以下の7都市と姉妹都市提携を結んでおり、これらの都市も冬のリゾート地として知られています。

ガルミッシュ＝パルテンキルヒェン（ドイツ）
クイーンズタウン（ニュージーランド）
サン・カルロス・デ・バリローチェ（アルゼンチン）
勝山市（日本・福井県）
占冠村（日本・北海道）
シャモニー（フランス）
* ダボス（スイス）

文化と関連情報

アスペンは、リゾート地としてだけでなく、文化的な側面も持ち合わせています。アスペン音楽祭・学校は世界的に有名で、毎年多くの音楽家や学生が集まります。また、初期のハイパーメディアとして知られる「アスペン・ムービー・マップ」も、この地に関連するプロジェクトです。

アスペンは、その歴史と自然、文化が融合した魅力的な都市であり、世界中から多くの人々を惹きつけています。

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