アタミザクラ

アタミザクラ（熱海桜）

アタミザクラは、静岡県熱海市を中心に栽培されている早咲きの桜の一種です。鮮やかなピンク色の花を咲かせ、熱海の冬から春への移り変わりを彩ります。

歴史

アタミザクラの起源は、明治時代初期にイタリア人によって持ち込まれたインド原産の品種であるとされてきました。しかし、近年の研究により、カンヒザクラ（寒緋桜）とヤマザクラ（山桜）の雑種である可能性が高いと推定されています。

興味深いことに、タイリョウザクラやイズタガアカなどの作出で知られる角田晴彦氏が作出した「アタミハヤザキ」という品種がありますが、これは寒桜と大島桜の交配種であり、アタミザクラとは異なる品種です。混同しないように注意が必要です。

アタミザクラは、その美しさから須崎御用邸、伊勢神宮、東宮御所などにも献上され、植栽されています。1977年（昭和52年）には、熱海市の市制施行40周年を記念して、熱海市の「木」に指定されました。

開花時期と特徴

アタミザクラの開花時期は、例年1月中旬から2月中旬です。カワヅザクラよりも約1ヶ月早く開花し、沖縄のカンヒザクラや伊豆市土肥のトイザクラなどと共に、日本で最も早く咲く桜の一つとして知られています。

ただし、11月下旬に開花するヒマラヤザクラや10月頃に開花するシキザクラなど、さらに早咲きの品種も存在します。

アタミザクラの大きな特徴は、開花期間の長さです。通常の桜の開花期間が1〜2週間程度であるのに対し、アタミザクラは2段階に分けて開花するため、約1ヶ月間花を楽しむことができます。

名所とイベント

熱海市内には、アタミザクラの名所が点在しています。

糸川沿い（糸川遊歩道）: 市街地を流れる糸川沿いには、多くのアタミザクラが植えられており、開花時期には「糸川桜まつり」が開催されます。ライトアップされた夜桜も楽しめます。
親水公園周辺: 海に面した親水公園周辺にもアタミザクラが植えられています。海を背景に咲く桜は、格別な美しさです。
熱海梅園周辺: 熱海梅園の周辺にもアタミザクラが植えられています。梅の花と桜の花を同時に楽しめるスポットです。
さくらの名所散策路（四季の道）: 伊豆多賀駅と熱海高校を結ぶ遊歩道には、アタミザクラの並木道があります。ヒマラヤザクラやソメイヨシノも植えられており、様々な桜を楽しむことができます。

これらの名所では、アタミザクラの開花時期に合わせて様々なイベントが開催され、多くの観光客で賑わいます。

アタミザクラは、熱海の早春を告げる美しい桜です。ぜひ一度、その可憐な姿を見に訪れてみてください。


名所詳細
糸川遊歩道：58本
親水公園周辺：渚デッキ17本、渚小公園15本
熱海梅園周辺：園内4本、園前23本
さくらの名所散策路：87本


外部リンク
あたみ桜 - 熱海市役所
糸川桜まつり - 熱海市観光協会

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