アニマ・エテルナ

アニマ・エテルナ（Anima Eterna）は、ベルギーを本拠地とする著名な古楽器オーケストラです。この楽団は、鍵盤楽器奏者としても知られるヨス・ファン・インマゼールによって1985年に設立されました。その設立の契機となったのは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのチェンバロ協奏曲を録音するという特定のプロジェクトでした。

楽団名の「アニマ・エテルナ」はラテン語に由来しており、設立者であるインマゼールの姓「Immer Seel(e)」のドイツ語での意味「永遠の魂」を訳したものです。この名称には、彼らの演奏活動に込められた精神性や、音楽が持つ普遍的な価値への思いが反映されているのかもしれません。

彼らの音楽的レパートリーは、設立当初のバロック音楽のみにとどまらず、非常に広範にわたります。古典派時代以降の作品を中心に、初期ロマン派から、さらにはリムスキー＝コルサコフ、ヨハン・シュトラウス2世、ドビュッシー、ラヴェルといった近代フランスの作曲家、ヤナーチェクのような東欧の作曲家、そしてジョージ・ガーシュウィンやリヒャルト・シュトラウスといった20世紀初頭の作品まで、多岐にわたる時代の楽曲を採り上げています。これらの作品を、それぞれの時代に使用されていた楽器や演奏スタイルに基づいた歴史的なアプローチで演奏することにより、作品本来の響きや表現を探求しています。

アニマ・エテルナの活動は、コンサート演奏だけでなく、精力的な録音活動によっても広く知られています。代表的な録音としては、チャンネル・クラシックス・レーベルからリリースされたモーツァルトのピアノ協奏曲全集があります。これはインマゼール自身がフォルテピアノを独奏したものとして特筆されます。また、ソニー・クラシカル・レーベルからは、ベートーヴェンの交響曲シリーズやシューベルトの交響曲全集といった、古典派・初期ロマン派の主要レパートリーの録音を多数発表しています。さらに、インマゼール自身の設立したレーベルであるジグザグ・テリトワールからは、チャイコフスキーの交響曲第4番などがリリースされており、彼らの探求心はロシア音楽にまで及んでいます。

楽団は設立以来、2024年まで一貫してヨス・ファン・インマゼールが音楽監督を務めてきました。しかし、2024年9月には、楽団側からインマゼールに対して、「持続的な攻撃的な行動」および「契約上の義務の定期的な違反」を理由として、音楽監督の職を解くという決定がなされました。これは、長きにわたり楽団を率いてきた創設者がそのポストを離れるという、楽団の歴史において大きな転換点となる出来事でした。

アニマ・エテルナは、古楽器を用いた歴史的解釈に基づく演奏を通じて、幅広い時代の音楽に新たな光を当て続けているオーケストラです。設立者との離別という困難を経て、今後の活動がどのように展開していくか注目されています。

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