アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険

アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険

『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』は、1979年4月7日から1980年4月5日までNHK総合テレビで放送されたテレビアニメです。シルクロードブームを背景に、アニメーションと実写ドキュメンタリー映像を組み合わせた、当時としては実験的で意欲的な作品として注目を集めました。

概要

全43回にわたるこの作品は、NHKが16カ国に及ぶ取材を敢行し、マルコ・ポーロの伝記『東方見聞録』を基に構成されています。物語は大きく3つのパートに分かれ、「シルクロード編」（1回 - 20回）、「中国編」（21回 - 33回）、「南海編」（34回 - 43回）として、マルコの冒険と成長を描いています。

音楽は、人気シンガーソングライターの小椋佳が担当し、その美しい旋律が作品に深みを与えました。オープニングテーマ「いつの日か旅する者よ」やエンディングテーマは、多くの視聴者の心に残っています。

キャラクターデザインにおいては、マルコの姿が『宇宙戦艦ヤマト』の古代進に似ているという声も上がりました。特に中国編以降はその印象が強く、マルコの声優を務めた富山敬が古代進の声も担当していたことが、その印象をさらに強めた要因と言えるでしょう。また、マルコのビジュアルが少年時代から壮年期までほとんど変わらない点について、キャラクターデザインの杉野昭夫は、NHK側から「老けたマルコのビジュアルは視聴者が混乱する」という指摘を受け、現在の姿になったと語っています。

放送当時、パレスチナ解放機構（PLO）の東京事務所から、番組内容にパレスチナ人の存在を否定する部分があるとしてNHKに抗議文書が送られるという出来事もありました。PLO側は、アラブ人への偏見を植え付ける描写や、イスラエル国家が13世紀に存在するかのような描写が、パレスチナ人の存在を無視するものだと主張しました。これに対し、NHKはPLOの主張は誤解であるとし、番組制作の真意を理解してもらいたいと回答しました。

このアニメがきっかけとなり、1980年4月からは『NHK特集 シルクロード』が放送されました。企画者は本作を監修した鈴木肇ディレクターです。

あらすじ

1271年、ヴェネツィアに住む17歳の少年マルコ・ポーロは、父ニコロと叔父マテオと共に東方への旅に出発します。旅の道中、マルコは様々な人々との出会いと別れを経験し、数々の冒険を通して成長していきます。

主要キャラクター

マルコ・ポーロ
声 - 富山敬
主人公。
ニコロ・ポーロ
声 - 久松保夫
マルコの父。
マテオ・ポーロ
声 - 富田耕生
マルコの叔父。
ナレーション
声 - 小池朝雄

各回リスト

各回のタイトルは省略します。

映像の保存・寄贈状況

当時のアニメ制作は16ミリフィルムが主流でしたが、本作はアニメパートと実写パートをビデオ編集で完成させていたため、2インチVTRが放送マザーとして使用されていました。NHKは、2009年頃から番組発掘プロジェクトの一環として、VTRマスターとして所蔵されている第1回と最終回を除く回のビデオ（エアチェック）の募集を行い、スタッフや視聴者から提供された映像やフィルムによって全43回分が復元されました。

再放送

2023年3月には『プレミアムカフェ』（NHK BSプレミアム）で一部が再放送され、2025年4月5日からはNHK総合テレビで全43回の再放送が予定されています。また、NHK BSプレミアム4Kでも先行して放送される予定です。

『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』は、マルコ・ポーロの足跡を辿りながら、異文化との交流や人間の成長を描いた作品として、今もなお多くの人々に愛されています。

もう一度検索