アフガニスタン共和国 (1973年-1978年)

アフガニスタン共和国は、1973年から1978年まで存在したアフガニスタン初の共和国です。ムハンマド・ダーウード・ハーンが、当時イタリアで療養中だった国王ザーヒル・シャーをクーデターによって廃位し、自ら大統領として国を率いました。

建国

1973年7月、ザーヒル・シャーがイタリアで眼科手術と腰痛治療を受けていた隙をつき、ダーウード・ハーンはクーデターを敢行しました。彼はかつてザーヒル・シャーによって首相を辞任させられた過去があり、その復讐の意味も含まれていたとされます。ザーヒル・シャーは内戦を避けるため退位しました。

一党統治

権力を掌握したダーウードは、自身の政党であるアフガニスタン国民革命党を創設し、政治活動の中心としました。1977年1月には新憲法が採択され、一党制大統領制が敷かれ、野党は弾圧されました。また、元首相のムハンマド・ハーシム・マイワンドワールが政変を企てた疑いで逮捕され、獄中で死亡しました。公式には自殺と発表されましたが、拷問による死亡との見方が有力です。

共産主義の勃興

ダーウードは当初、アフガニスタン人民民主党を政府に迎え入れましたが、後に西側諸国との関係を強化し、ソ連の軍事顧問を追放するなど、ソ連との関係は悪化しました。これに対し、ソ連を後ろ盾とする人民民主党はダーウード政権に反発を強めました。ダーウードの経済政策は成果を上げられず、国民の不満が高まる中、人民民主党はクーデターを計画しました。

1978年当時、ダーウード政権は経済成長をほとんど実現できておらず、国民の生活水準も向上していませんでした。1977年に制定された一党制憲法も、以前の盟友たちを遠ざける結果となりました。国民は「何も変わらない」ダーウード政府に失望し、一部では入閣していた人民民主党党員による経済・社会改革に期待していました。人民民主党内では、以前は二つの派閥に分かれて党内闘争を繰り広げていましたが、この時には一時的に和解し、共産党を支持する軍の一部が反政府行動を計画しました。1979年に革命評議会議長（国家元首）に就任したハフィーズッラー・アミーンによると、クーデターは1976年から計画されていたといいます。

四月革命

1978年4月27日、アフガニスタン人民民主党は、軍事クーデター「四月革命」によって権力を奪取しました。カーブル国際空港の軍事基地から出撃した軍は、首都カーブルの中心部へ進軍、大統領宮殿への空襲や主要な拠点の制圧により、わずか24時間で権力掌握を完了しました。ダーウードとその家族は翌日に処刑されました。人民民主党書記長のヌール・ムハンマド・タラキーが革命委員会会長に選出され、国家元首に就任、アフガニスタン民主共和国を樹立しました。

アフガニスタン共和国は、わずか5年という短命に終わりましたが、その後のアフガニスタンの歴史に大きな影響を与えました。ダーウード政権がソ連との関係を悪化させたことが、後のソ連のアフガニスタン侵攻を招いた一因とも言われています。

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