アフマドナガル

アフマドナガル

アフマドナガルは、インド西部のマハーラーシュトラ州中央部に位置する歴史的な都市であり、現在はアフマドナガル県の県庁所在地として機能しています。かつては強力な独立王国であるアフマドナガル王国の首都として栄華を誇りました。ムンバイからは東におよそ200キロメートルの距離にあります。

名称

この都市の名前「アフマドナガル」は、ペルシア語とサンスクリット語に由来し、「アフマドの都市（ナガル）」という意味を持っています。都市の創設者であるアフマド・ニザームル・ムルクにちなんで名付けられました。表記にはアフメドナガル、アーマドナガル、アーメドナガルといったバリエーションが見られます。

歴史

アフマドナガルの歴史は、15世紀末にアフマドナガル王国が成立したことに始まります。1490年、当時デカン地方の強国であったバフマニー朝のダウラターバード太守であったアフマド・ニザームル・ムルクは、バフマニー朝の権威が揺らぐ中で独立を宣言しました。彼は新たな王国の首都としてアフマドナガルを選定し、都市とその防衛拠点となるアフマドナガル城の建設に着手しました。

王国はデカン地方において重要な勢力として約1世紀にわたり存続しましたが、17世紀に入ると北インドを支配するムガル帝国との間に緊張が高まります。1600年以降、豊かなデカン地方の覇権を巡ってムガル帝国はアフマドナガル王国への侵攻を強め、都市と城は激しい争奪の舞台となりました。最終的に1633年、アフマドナガル城はムガル帝国の支配下に入り、アフマドナガル王国は終焉を迎えました。

ムガル帝国の統治下では、アフマドナガルはその戦略的な重要性からデカン経営の拠点として位置づけられました。特に、第六代皇帝アウラングゼーブがデカン地方での勢力拡大を目指した長期遠征においては、アウラングバードと並んで主要な拠点の一つとなりました。歴史的に重要な出来事として、アウラングゼーブ帝は長きにわたる治世の晩年をこの地で過ごし、1707年にアフマドナガルでその生涯を閉じています。

18世紀に入りムガル帝国の衰退が進むと、アフマドナガルは再び支配者が頻繁に入れ替わる不安定な時代を迎えます。1724年にはニザーム王国の、1795年にはマラーター王国の支配下に入り、さらに1797年にはマラーター同盟内のシンディア家がこの地を掌握しました。しかし、こうした状況も長くは続かず、19世紀初頭の第二次マラーター戦争中の1803年、イギリス東インド会社軍によって占領されます。

イギリスの支配下に入ったアフマドナガルは、ボンベイ管区の一部として再編されました。その後、インドが独立を達成した1947年には、ボンベイ州の一部となります。そして、1960年の言語に基づく州の再編成により、マハーラーシュトラ州が成立した際に、その領域に編入され現在に至っています。

地理

アフマドナガルはマハーラーシュトラ州の内陸部に位置し、州都ムンバイからはおおよそ東方向に200キロメートルほどの距離にあります。周辺地域は主に農業地帯が広がっています。

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