アブドゥル・カディル

アブドゥル・カディルは、1944年にヘラート州で生まれ、2014年4月22日にこの世を去ったアフガニスタンの軍人であり、政治家です。最終階級は大将で、ヌール・ムハンマド・タラキー政権とバブラク・カールマル政権という、アフガニスタンの激動期に国防大臣を二度務めました。

生い立ちと軍歴

カディルは、ズリ部族のチャライマク氏族に属する家系に生まれました。カーブルの幼年学校と士官学校で教育を受け、その後、ソ連で飛行士の訓練を受けましたが、健康上の理由で中退しています。帰国後はアフガニスタン空軍に勤務する傍ら、アフガニスタン人民民主党と協力して軍内に革命将校団を組織しました。

1973年初めには、陰謀への関与が疑われたため、空軍及び防空軍副司令官からカブール軍用家畜部長へと降格されました。しかし、同年7月には、ムハンマド・ダーウードによるクーデターの指導者の1人として名を連ねました。クーデター成功後、カディルは中佐の階級で再び空軍及び防空軍副司令官/参謀長の地位に返り咲きました。

クーデターと政権交代

1978年4月、カディルはカブール守備隊の2個旅団を率いて軍事クーデターを組織しました。また、バグラム空軍基地の飛行士を扇動し、自らも飛行機に乗り込んでダーウードの官邸にロケット攻撃を行ったとの情報もあります。4月27日から29日にかけて、軍革命会議の議長としてダーウード体制の打倒を宣言し、その後の権力をヌール・ムハンマド・タラキーを首班とするアフガニスタン人民民主党と革命軍事会議に委譲しました。

国防相としての活動と失脚

1978年5月から8月にかけて、カディルは国防相（または空軍総司令官を兼任）を務めました。しかし、その後、パルチャム派の陰謀への関与を疑われ逮捕、拷問を受けました。当初は死刑判決を受けましたが、ソ連大使館の働きかけにより禁固15年に減刑されました。1979年12月27日には、ソ連軍のアフガン侵攻後に釈放されました。

その後の政治活動

釈放後、1980年にはアフガニスタン人民民主党中央委員会国防・法務課主任に就任し、1980年から1982年までは革命軍事会議幹部会議員を務めました。1982年1月4日には国防相代行、同年9月23日には国防相に再任されました。同年12月12日にはアフガニスタン人民民主党政治局員候補にも選出されています。1984年12月4日には革命軍事会議第一副議長に昇進しましたが、1985年11月21日には再び陰謀への関与を疑われ、党職を解任されました。

その後、1986年10月には駐ポーランド大使に任命されました。1990年代初頭にはアフガニスタンへの帰国を拒否し、ブルガリアに政治亡命しましたが、その後帰国し、アフマド・シャー・マスードの非公式な軍事顧問となりました。

アブドゥル・カディルの生涯は、アフガニスタンの激動の歴史を反映しており、その複雑な政治的立場と軍事的行動は、今日でも多くの議論を呼んでいます。

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