バグラム空軍基地

バグラム空軍基地：アフガニスタンの激動の歴史を映す軍事拠点

バグラム空軍基地は、アフガニスタンのパルヴァーン州バグラームに位置する軍用飛行場です。かつてはアフガニスタンにおける最大規模のアメリカ軍基地でしたが、2021年7月にアメリカ軍が完全撤退しました。この基地は、その歴史を通して、数々の紛争や政治的変動の中心となってきました。

歴史

1976年に最初の滑走路が建設されたバグラム空軍基地は、その後の歴史において重要な役割を担います。

ソ連のアフガニスタン侵攻時代 (1979-1989): ソ連軍は同基地を部隊や補給の重要な拠点として利用しました。この時期、基地はソ連の軍事作戦を支える上で不可欠な存在でした。
ソ連撤退後からアメリカのアフガニスタン侵攻まで: ソ連撤退後、基地は北部同盟とターリバーンによって争奪の対象となりました。ターリバーンは基地を大砲や迫撃砲の射程に収め、一方、北部同盟はソ連製のロケット弾で首都カーブルを攻撃するなど、激しい戦闘が繰り広げられました。
アメリカのアフガニスタン侵攻 (2001年以降): アメリカ同時多発テロ事件後、アメリカ軍はアフガニスタンに侵攻し、イギリス海兵隊特殊舟艇部隊がバグラム空軍基地を確保しました。その後、アメリカ軍は基地の大規模な改修・拡張工事を行い、アフガニスタンにおける軍事作戦の主要拠点としました。2001年12月21日には、世界貿易センタービルの瓦礫が礎石として埋め込まれ、テロとの戦いにおける象徴的な場所となりました。

基地における事件

バグラム空軍基地は、その歴史を通じて数々の事件に見舞われました。

2006年3月1日: ジョージ・W・ブッシュ大統領夫妻が基地を訪問しました。
2007年2月27日: ディック・チェイニー副大統領訪問中に自爆テロが発生し、多数の死傷者が出ました。ターリバーンはこの攻撃がチェイニー副大統領を狙ったもので、ウサーマ・ビン・ラーディンが計画したと発表しました。
2009年3月4日: 基地外で自動車爆弾が爆発し、市民が負傷しました。
2009年6月21日: ロケット弾攻撃で国際治安支援部隊の兵士が死傷しました。
2010年3月15日: 武装勢力によるロケット弾攻撃で消防士が死亡しました。
2010年5月18日: 自動車爆弾による自爆攻撃で多数の死傷者が出ました。翌日にはターリバーンによる襲撃も発生しました。
2013年4月29日: ナショナル・エアラインズの貨物機が離陸直後に墜落しました。
2016年11月12日: 食堂で働いていたアフガニスタン人労働者が自爆攻撃を行い、死傷者が出ました。
2019年11月28日: ドナルド・トランプ大統領が感謝祭に合わせて予告なしに基地を訪問しました。

これらの事件は、バグラム空軍基地が常に危険と隣り合わせであったことを示しています。

アメリカ軍の撤退とタリバンによる掌握

2021年7月2日、アメリカ軍はバグラム空軍基地から撤退しました。同年8月15日には、タリバンが基地を掌握し、その長い歴史に新たな章が加わりました。

付属収容所と虐待疑惑

バグラム空軍基地には、テロ容疑者を収容する施設が併設されていました。しかし、収容者に対する虐待疑惑が指摘され、国際的な非難を浴びました。アメリカ国防総省は虐待の事実を否定しましたが、メディアによる報道で虐待の具体的な事例が明らかになりました。

アフガニスタン軍への移管

アフガニスタン政府は収容所の権限移譲を強く求め、2012年9月に一部権限が移譲されました。2013年3月25日には、アフガニスタン軍への全面移管が実現しました。これはアフガニスタンの主権回復に向けた重要な一歩となりました。

結論

バグラム空軍基地は、アフガニスタンの激動の歴史を象徴する場所です。ソ連侵攻からアメリカ軍の撤退、そしてタリバンによる掌握まで、この基地は数々の紛争と政治的変動の中心となってきました。その歴史は、アフガニスタンの複雑な現状を理解する上で重要な鍵となります。

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