Webアプリケーションフレームワーク

Webアプリケーションフレームワークとは

Webアプリケーションフレームワークは、動的なWebサイト、Webアプリケーション、Webサービスの開発を支援するために設計されたフレームワークです。Web開発における共通作業の労力を軽減し、開発効率を向上させることを目的としています。

Webアプリケーションフレームワークの役割

多くのフレームワークは、データベースへのアクセス、テンプレートエンジン、セッション管理などの機能を提供し、コードの再利用を促進します。これにより、開発者はアプリケーションのコアロジックに集中できるようになります。

発展の歴史

初期のWebは静的なHTMLで構成されていましたが、ユーザーの入力に応じて動的にコンテンツを生成する必要が生じました。そこで、Webサーバが外部アプリケーションと連携するためのCommon Gateway Interface (CGI)が導入されました。

CGIは各リクエストごとにプロセスを起動するため、サーバの負荷が高くなるという課題がありました。そのため、Webサーバと密に連携する手法が登場しました。例えば、Apache HTTP Serverでは、モジュールによって動的なコンテンツ処理が可能になりました。

また、PHPやActive Server PagesといったWeb専用の言語も開発されました。多くのプログラミング言語がWebページ生成のためのライブラリを提供し始め、Webアプリケーションに特化したライブラリも登場しました。

成熟したフレームワークは、複数のライブラリを統合した「フルスタック」フレームワークとして進化しました。Jakarta EEやRuby on Railsなどが代表例です。

ポートレット

従来のフレームワークでは、アプリケーション全体を入れ替える必要がありましたが、ポートレットフレームワークでは、ユーザ機能を縦に分割し、機能毎にデプロイやアンデプロイが可能になりました。ポートレットはドラッグ＆ドロップで配置でき、異なる技術スタックや言語で開発されたポートレットを組み合わせて利用できます。アジャイル開発に適しており、LiferayやAlfrescoなどが例として挙げられます。

アーキテクチャ

Model View Controller (MVC)

多くのフレームワークは、データモデル、ビジネスロジック、ユーザーインターフェースを分割するMVCモデルを採用しています。これにより、コードの可読性と保守性が向上します。

プッシュ型とプル型

多くのMVCフレームワークはプッシュ型アーキテクチャを採用しており、アクションを実行して結果をビューにプッシュします。一方、プル型アーキテクチャはビューから処理を開始し、必要に応じてコントローラから結果をプルします。TapestryやVelocityなどがプル型の例です。

コンテンツ管理システム (CMS)

CMSが、Webアプリケーションフレームワークの高度なレイヤーとして登場しています。Drupal, WordPress, Joomla!などが該当し、モジュールによる機能拡張が可能です。また、Liferayのような高度なCMSは、バージョン管理やワークフローなどの機能を提供しています。

機能

セキュリティ

Webアプリケーションフレームワークには、アクセス制御機能（認証と認可）が含まれているものがあります。Djangoがその例で、ロールベースのアクセス管理が可能です。

データベースアクセスとマッピング

フレームワークはデータベースへの統一されたAPIを提供し、異なるデータベースとの連携を容易にします。また、オブジェクト関係マッピング機能により、オブジェクトとデータベーステーブルのマッピングを自動化します。

URLマッピング

フレームワークは、複雑なURLを分かりやすいURLに変換し、使いやすさを向上させ、SEO対策にも貢献します。

Webテンプレートシステム

動的なWebページは、静的なHTMLと動的なコンテンツ生成コードから構成されます。テンプレートエンジンを使用することで、HTMLとコードを分離し、変数を埋め込むことで、ページ更新に必要なプログラミング知識を削減できます。

キャッシュ

フレームワークはWebコンテンツをキャッシュし、帯域幅の消費を削減し、Webサーバーの負荷を軽減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。

Ajax

Ajaxを使用することで、ページ全体のリロードなしに動的なコンテンツの更新が可能になり、インタラクティブなWebアプリケーションを構築できます。Ajaxをサポートするフレームワークやライブラリも多く存在します。

自動構成

フレームワークは、型システムやランタイム時のデータベーススキーマの生成などにより、構成作業を自動化し、開発者の負担を軽減します。

Webサービス

フレームワークはWebサービスの作成と提供を支援するツールを提供します。これにより、Webアプリケーションと同様の機能を持つWebサービスを容易に開発できます。

技術

プログラミング言語

多くのプログラミング言語に対応したWebアプリケーションフレームワークが存在しますが、サポートレベルや開発者の数には差があります。

Java

Javaでは、多数のフレームワークが開発されており、Jakarta EEプラットフォーム上に構築されているものが多いです。

JavaScript

JavaScriptでは、Prototype JavaScript FrameworkやjQueryなど、多くのフレームワークやライブラリが開発されています。AngularJS, Aurelia.js, React, Vue.jsなどが有名です。

C#およびVB.NET

C#およびVB.NETは、マイクロソフトのASP.NETプラットフォームで広く使われています。ASP.NETはWebアプリケーションを構築するための基盤技術であり、ASP.NET AJAXを備えています。

PHP

PHPには、CakePHP, Symfony, Laravelなど、数多くのフレームワークが存在します。また、Magento, DrupalなどのCMSもWebアプリケーションフレームワークとしての側面を持ち始めています。

Perl, Python, Ruby

PerlにはCatalyst、PythonにはDjango、RubyにはRuby on Railsなどのフレームワークがあります。

オペレーティングシステム

ほとんどのWebアプリケーションフレームワークはプラットフォームに依存しない言語で作成され、Windows, macOS, Linuxなどのプラットフォームで動作します。

まとめ

Webアプリケーションフレームワークは、Web開発を効率化するための重要なツールです。様々な機能やアーキテクチャを提供し、開発者はアプリケーションのコアロジックに集中できるようになります。フレームワークの選択は、開発するアプリケーションの要件や開発者のスキルによって異なります。

参考文献

Tony Shan and Winnie Hua (2006). Taxonomy of Java Web Application Frameworks.

関連項目

ソフトウェアフレームワーク
アプリケーションフレームワーク
Don't repeat yourself（DRY原則）

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